酒と奇跡【パリッコ】

酒の神がいるとしたら、その神が時々軌跡を起こしてくれる。思いがけない出会いであったり、不思議な出来事であったり。今回はパリッコさによるそんな酒場で起こった奇跡のお話。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

始まりの日と終わりの日に……

「週刊漫画ゴラク」という漫画雑誌で、僕の考えたオリジナルおつまみレシピを毎回ひとつイラストとコラムで紹介する「晩酌ほろ酔いクッキング」という連載を、隔週で54回と、長く続けさせてもらっていました。その連載が先日終了したのですが、担当さんとの最後の打ち合わせの時、ちょっと印象的な出来事があったんですよね。
待ち合わせは、僕の地元である石神井公園駅前にお昼の12時でした。担当のTさんは僕と同世代の男性で、同じく漫画ゴラクで長寿連載をしているラズウェル細木先生の「酒のほそ道」の担当でもあります。そのTさんと、その日にお会いした時の第一声が「さっき、ここに来る途中のバスで、偶然ラズウェル先生にお会いしましたよ!」というもの。
ラズウェル先生の家が同じ練馬区内で、そんなに遠くないことは知っているものの、最寄り駅が同じというわけではない。にも関わらず、ふたりの担当編集者であるTさんが、僕に会うために出版社から電車やバスを駆使して石神井公園というマイナーな駅に向かう途中、なぜかピンポイントに、ラズ先生と遭遇してしまう。
そもそも「晩酌ほろ酔いクッキング」は、数年前にとある飲み会で、漫画ゴラク編集部の方々やラズ先生と同席させてもらった時、先生が編集長のいる前で、持ち前の優しさから「パリちゃんもゴラクでなんか連載やったらいいよ~」と言ってくださり、酒の席のノリも手伝ってか、編集長がそれに応える形で始まったもの。その場にはTさんもいて、つまりTさんは、この連載の始まりの日にも終わりの日にも、僕とラズ先生に会っている。それがどうしたという話ではあるんですが、なんだか必然性を感じるような、おもしろい偶然ですよね。

このように、心の底からお酒が好きで、くる日もくる日も酒ばっかり飲んですごしていると、まれに「お酒の神様が起こしてくれた奇跡」としか考えられないような出来事が起きることがあります。しかも、奇跡には間違いないんだけれども、だから何ってこともない内容の。きっと僕がお酒に対して求めていることの本質が、「ははは、それ、意味はないけどおもろいね〜! あぁ、酒うま」みたいなものだからこそ、お酒の神様も気まぐれに、そういう類のプレゼントをくれるのでしょう。何はともあれ、ありがたいことです。

清野とおるさんとのハシゴ酒で

そんな経験の中でもとりわけ忘れがたい、無意味な奇跡があります。

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スズキナオ /パリッコ

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