しない」をすれば、あなたもチームもうまくいく!

特別連載『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』も今回で最後です。
前回につづき、チームをアクティブにする原則を紹介します。

(1~10の原則こちら

(11)与えすぎたり教えすぎたりしない

リーダーとして新しいチームを任されたり、新メンバーがチームに加わったりした際に、「仕事量を調整して無理をさせないようにしよう」という配慮や、「業務手順をきちんと教えてあげよう」と思うことは自然なことです。
しかし、余裕を与えすぎることでメンバーの習熟度の向上が阻害されていたり、教えすぎてしまうことで、自分で考える機会を奪っていたりする可能性もあります。

(12)失敗と再挑戦の機会を奪わない

誰でも、できることなら失敗は避けたいもの。
けれど、「失敗すること」でチームが大きく成長する場合もあります。
「失敗したらやり直せない」という気持ちは、チームの主体性を奪っていきます。
特に、リーダー自身が失敗を避けるような姿勢でいると、メンバーはますますパッシブになってしまいます。

「失敗から学べることがある」「できなかったら、もう一度チャレンジすることができる」という心理的安全性を確保しましょう。

(13)試行と思考の機会を奪わない

メンバーが「決められたことを決められたようにやる」ことに慣れてしまうと、想定外の事態が起きた場合でも自分で考えて行動をせず、「どうしたらいいですか?」と、他者に依存してしまいます。
自分たちで考え、自分たちで動くためには、「とりあえず試しにやってみる」という試行の機会と、その結果起きた出来事に対して、振り返りと話し合いを十分にできる機会が必要です。

(14)干渉したり割り込んだりしない

仕事の進捗が思わしくないときや、メンバーの技術が未熟で思うように成果が生まれないときに、つい「もっとこうしなさい」と指示を出したり、「できないなら、引き取るから」と対応したりする経験が、誰でもあると思います。
成果を得るためにはやむを得ない場合もありますが、チームの発達を促すという視点では逆効果です。
「うまくいっている?進み具合はどう?」「できないんだったら、いつでもサポートするからね」と、声のかけ方を工夫しましょう。

(15)求められていないのにアドバイスしない

経験豊富な人ほど、「そういうときは、こうすればいいんだよ」「それをやると大抵こうなるから、早めに対処しておいたほうがいいよ」と、親切心から「転ばぬ先の杖」を渡したくなると思います。
アドバイスは相手が求めたときにする、を徹底することで相手の試行錯誤の機会を奪わずに済みます。

(16)相手の志向を否定しない

「志向」とは、好き嫌いのことです。
もしメンバーの1人が「自分はチームで仕事をするの、嫌いなんですよね」と言ったとしても、「それは間違っている」と否定する必要はありません。 相手の「好き/嫌い」という感情は、あなたが否定することはできないからです。

それよりも「そうか、嫌いなんだ。何があって嫌いになったの?」と、相手の価値観を確認するような関わりを持つことで、人間関係を無理なく育むことができます。

(17)断定しない

自分自身の経験や知識に照らし合わせて、メンバーに「それはあなたが間違っているよ」「そうなったらもう取り返しはつかないね」「うまくいくわけないよ」と断定する言葉を投げかけると、あっという間にパッシブな状態が生まれます。
「そういう考え方もあるかもしれないね」「もしかしたら取り返しがつかないかもしれないけど、試してみようか」といった言い回しを心がけることで、メンバーは「柔軟な思考ができる人」という認識をしてくれるはずです。

(18)裁かない

「裁く」とは、理由や非の所在を明らかにすることです。
「この仕事が失敗したのは、あいつのせいだ」「目標が達成できなかったのは、会社が悪いからだ」といった具合に、自分自身が責任を負わず、原因や非を外部・他者に求めるとチームはパッシブになります。

たとえ自分に直接の原因がなかったとしても、間接的に関与していることがあるのであれば、「私たちにできたことはなんだろうか?」と、まずあなたが責任の所在について振り返り、メンバーの主体性を促しましょう。

(19)相手の感情と自分の感情を混同しない

メンバーの喜怒哀楽に寄り添っているうちに、まるで自分がその感情を持っているような錯覚をしたことはありませんか?
ポジティブな感情ならまだしも、メンバーが怒っている様子を見て、自分も段々腹が立ってくる。

または悲しんでいる姿を見て、自分も悲しい気持ちになるといったように、感情は伝染します。
チームの雰囲気をネガティブにしたくないのであれば、メンバーの感情に共感しつつ「気持ちを切り替えよう」という声がけをしてみましょう。

(20)相手が答えを見つける機会を奪わない

チームの発達を促し育むために大切なのは、「代わりにやってあげること」「自分が率先してお手本を見せること」よりも、メンバーが「自分でできるようになること」「リーダーのフォローを、メンバーがしてくれるようになること」です。
あなたが持っている「正解」を渡すのではなく、メンバー自身が「解答」を見つけられるような関わり方が、主体性を生みます。

あくまで僕自身がファシリテーティブでありたいがために生まれた心がまえなので、この20項目に固執する必要はありません。
まずは一日1項目ずつ意識するのでもよいと思いますし、振り返りのポイントとして眺めてみると、新たな発見があるかもしれません。

今いる仲間とうまくいくために、あなたができること

最後に、僕からあなたへ、1つ提案があります。
もしあなたが、これからチームをつくろうとしたり、今いるチームの雰囲気を変えたいと願ったりしているのであれば、本書の内容をあなたの記憶に留めるだけでなく、メンバーと次のような取り組みに挑戦してみてください。

(1)この本をチームのメンバーと読む

(2)感想を伝え合う

(3)自分たちの「理想のチームの姿」について話し合う

(4)自分たちの「現状のチームの姿」について話し合う

(5)理想と現実のギャップを埋めるためのアイデアを話し合う

(6)出たアイデアのいくつかを試す

「今いる仲間とうまくいく」ためには、本書の内容を1人で理解し実践するよりも、チームで共有したほうが格段にいい流れを生み出すことができます。

『宇宙兄弟』で六太と日々人が築き上げたもの

また、チームが成長するための環境や仕組みづくりを、今すぐに1人で始めるのは難しいかもしれませんが、「メンバーと一緒に本を読み、その内容について話し合う」ことであれば、できると思いませんか?

その結果、「チームとして、もっとうまくいくにはどうしたらいいだろうか?」と、メンバー全員で考え、話し合い、行動に移せるようになったとしたら?

もしメンバーが(あるいは上司が)、「チームというのは、他者の成功体験を真似することではなく、自分たちでお互いの関係性を育みながら、仕事を通じて組織の発達を促すことだ」と理解し、仕事を始めたらどうでしょう?
とてもワクワクしてきませんか?

数々の困難を乗り越え、一歩ずつ成長してきたチーム「ジョーカーズ」。そこには、どんなときでも仲間を信じて行動する、六太らしい、六太なりのやり方がありました。 さあ、あなたも「あなたらしいやり方」で、チームづくりの旅を楽しんでいきましょう!(33巻#306)

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コルク

この連載について

初回を読む
宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話

長尾彰 /小山宙哉

『宇宙兄弟』のムッタやヒビト、チーム「ジョーカーズ」の成長ストーリーなどを分析し、自分の得意なスタイルで、今いる仲間をリードする方法を解説する「#宇宙兄弟チーム本」の特別連載。 (毎週土・火 公開予定)

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コメント

megamurara 今の自分は11から20の全てを「している」ように感じました。 約1ヶ月前 replyretweetfavorite