成功体験を丁寧に振り返ることが、 メンバー全員にとって大きな財産になる
第4ステージ「トランスフォーミング」で意識してほしいことはただ1つ、「振り返りをする」です。
一般的に「振り返り」と言うと、「うまくいかなかった理由を探る」「やってきたことを見直す」といった、問題点の追求や改善を意図するケースが多いと思います。
しかし、「うまくいったこと」「大きな成果を残す」に関しては、「なぜうまくいったのか」「何が成果を生み出したのか」を振り返ることはあまり行われていません。
うまくいったときこそ、メンバーで「振り返り」をしましょう。
それを社内でシェアすれば、組織全体の価値にもつながります。
ただし、「同じことをすれば成功するはず」という思い込みをしないように気をつけましょう。繰り返しになりますが、どんなチームにも共通する成功法則など、ありません。
『宇宙兄弟』で「ジョーカーズ」のキャプテンを務めるエディは、おそらくこうした「うまくいったときの振り返り」を、あらゆる状況で何回も行ってきたのだろうと思います。
その経験値を活かした柔軟なリーダーシップが、彼の大きな強みになっているのではないでしょうか。
「このメンバーで成果を出せたのは、どんな部分がよかったのだと思う?」
「ピンチになったときに、どうやって乗り越えたかな?」
「誰のどんな動きが流れを変えたか、覚えている?」
こうした問いかけについて、メンバーで話せる時間をぜひつくってください。
「チームの発達段階」を活かしていくには
最後に、「チームの発達段階」を活かすコツをまとめておきます。
それぞれのステージは、あくまで「見方」や「共通言語」であって、チームとしてのステージに固執する必要はありません。
「ストーミング」「ノーミング」「トランスフォーミング」の状態だったチームは、「WHY」が変わったり、メンバーの1人が抜けて、新しいメンバーが入ったりすることで、「フォーミング」の状態に戻ることがあります。
また、チームだけでなく、メンバー同士の関係性においても「発達段階」の概念を活かすことだってできるのです。
「この3人だとノーミングだけど、新しい人が1人加わることで、すごいフォーミング感があるよね」
「じゃあ、ストーミングになるには、その人とどうやってコミュニケーションの量を増やしていこうか」
こんな会話ができるようになったら、チームづくりの楽しさや醍醐味を感じられるようになるはず。 「チームの発達段階」は、自分たちが今どこにいるのかを知るためのチェックシートであり、目指す場所に行くための手立てがわかる、地図でもあるのです。
「ストーミング」の状態だった「ジョーカーズ」は、カルロが抜けてモッシュを迎えた時点で、再び「フォーミング」のようなぎこちなさを感じるようになりました。 「メンバーが入れ替わる」「ミッションが変わる」「チーム内での役職・役割が変わる」ときは、「フォーミング」に戻ることがあります。(24巻#226)
リーダーのスタイル別 4つのアプローチ
トランスフォーミング編
「トランスフォーミング」の段階においては、それぞれの強みを活かしたアプローチというよりも、振り返りの視点が重要になってきます。
・ファシリテーター型とティーチャー型は、「プロセス」を振り返る。
・マエストロ型とコンサルタント型は、「成果」を振り返る。
その結果、「このタイプの人たちが、こんなことをしてくれていたんだな」といった、新たな発見ができるかもしれません。
また各リーダーのスタイルが得意とする「人間関係」「資源」「成長」「生産性」のテーマに分けて、振り返りのポイントを紹介します。
ファシリテーター型 【振り返りのポイント】
チームの人間関係について
・人間関係はどんなふうに変化した?
・人間関係が悪くなったとき、どんな工夫をした?
・何がチームの発達を後押ししてくれたと思う?