成功体験を繰り返すことで、チームに「暗黙のルール」が生まれる

誰かに与えられたものではなく、自分たちで探求しつくりだした道を、メンバーがゴールに向かって動き出していく「ノーミング」。このステージで、リーダーがやることは何でしょうか? さっそく紹介していきましょう。
●話題沸騰『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』特別連載。(毎週火・土)

「ノーミング」のチームには「自治」が生まれる

メンバーが安心して本音を話せるようになる第2ステージ「ストーミング」では、意見の対立や衝突が起きることによりチームのパフォーマンスが一時的に低下することがあります。
この混乱にしっかりと向き合っていると、やがてメンバーの中で「このままじゃどうにもならないよね」「どうしたらチームで成果を上げられるのだろう?」といった当事者意識が生まれ始めます。

自主的に問題解決に向けて動き出した結果、コミュニケーションの「質」が上がり、第3ステージへの壁を乗り越えることができれば、「ノーミング」へと発達することができます。

かつての「グループ」の状態ではなく、メンバー全員に「チーム」としての自覚があり、「納得」や「合意形成」が大切にされるようになります。

ここからいよいよ、「チームビルディング」が始まります。
「ノーミング」のチームには、次のような特徴があります。

  • 「自分はこのチームのメンバーとして、どのように行動すべきか」を、メンバーそれぞれが理解している。
  • 小さな成功体験を繰り返していくうちに、チームに暗黙のルールが自然と築かれている。
  • 目的やビジョン、メンバーの役割、責任の範囲が明確になっている。
  • 誰かに指示されるのではなく、自分たちで目標やゴールを設定できる。
  • 知識や問題解決の手法、情報が共有されている。
  • 「私たちのやり方」「うちのチームは」といった表現が多用される。
  • 職位と職位としてのリーダーは形式としてのリーダーは形式となり、その時々で方向性を決められる人が、リーダーの役割を果たす。
  • 第4ステージ「トランスフォーミング」へとステージを進めるためには、自分たちで合意した役割とルールで目標を達成することが重要。

「フォーミング」や「ストーミング」では、成長するためにリーダーからの積極的な アプローチが大切でしたが、「ノーミング」の段階になると、自然とメンバー同士の「チームワーク」が発生します。

チームワーク1  個々の強みを活かした「役割」が生まれる
チームワーク2  自分たちの「ルール」が生まれる
チームワーク3  自分たちの「目標」が生まれる

あえて「つくる」ではなく「生まれる」と表現しているのは、意図的につくりあげるものではないからです。

誰かに与えられたものではなく、自分たちで探求しつくりだした道を、メンバーがゴールに向かって動き出していく「ノーミング」。

「このプロジェクトは、私たち全員がハンドルを握っている」という自覚があり、チームとしての成果が様々なシーンで出始め、この小さな成功体験の繰り返しが、チームをより大きな成長へと導いていくのです。

『宇宙兄弟』のチーム「ジョーカーズ」には、こうした特徴が数多く当てはまっています。
特に月面に行ってからは、メンバーから「俺たち」「信じよう」という言葉がよく聞かれるようになりました。

そして興味深いのは、管制室のキャプコムを務めるビンスや、フライトサージャンの久城、フライトディレクターのビル・ハガード、ジェーソン・バトラー室長など、「ジョーカーズ」を支える人物との関係性も「ノーミング」になっている点です。
これは、「ジョーカーズ」を取り巻く、もう1つの大きなチームが誕生しているのだと思います。

では、3つの「チームワーク」を具体的に説明していきましょう。

チームワーク1
個々の強みを活かした「役割」が生まれる

「ノーミング」では、役割をメンバーが自発的に分担し、自ら獲得したポジションに責任を持ち始めます。

「この資料作成は、〇〇さんがやってくれる?」という与えられた役割ではなく、「じゃあ私、資料作成が得意だからそれやります!」「なら私は、データの収集を担当します」と、それぞれが自発的に言えることが大切。
もちろん、周囲からお願いされることもあるでしょうが、メンバーが納得していれば問題はありません。

それぞれの凸と凹が見えてくるので、強みを活かすと同時に、誰かの苦手な部分をフォローすることもできるようになってくるでしょう。
ここで気をつけておきたいのは、「私、手が空いているから手伝うよ」といった形で、メンバーとの合意なく役割に干渉してしまうことです。

本人は楽しくやっているのかもしれないのに、結果的にその人の強みや役割を奪ってしまうかもしれません。
こうした事態を避けるには、「今どんな状態?」「大丈夫?無理はない?」「手伝いは必要?」といった形で「問いかけ」をしてみましょう。
「ノーミング」のチームならば、相手が本当に助けを必要としているのか、自然とわかるはず

チームワーク2
自分たちの「ルール」が生まれる

ここでいうルールとは、定められた規則ではなく、チーム内に存在する、いわゆる「暗黙のルール」です。

たとえば、最後に退出する人がオフィスの電気を消すといったものから、会議の資料は全員にメールしておき各自で出力する、といったものまで様々です。
もしこれらの独自ルールに納得がいかないメンバーがいる場合は、「このルール、なんとかしたほうがよくありませんか?」と、自然に発言する人が出てきます。

逆に「これって私の仕事?」と納得いかないものの、言い出せずに悶々としているメンバーがいるようなら、そのチームはまだ「ノーミング」ではなく「フォーミング」だと言えるでしょう。

チームワーク3
自分たちの「目標」が生まれる

数値だけで判断できるような定量的なゴールではなく、メンバーが「こうなったらいいね」というビジョンを共有した、数値だけでは測れないような定性的な目標が生まれていきます。

それは1つとも限らないし、チームとしてのビジョン以外に、メンバーの個人的なビジョンを全員で共有する場合もあります。第2章で紹介した「フロー」な目標は、「ノーミング」のチームに大きな活力を与えてくれます。

『宇宙兄弟』では、チーム「ジョーカーズ」としての正式な月面ミッションとは別に、メンバーがそれぞれに抱いている目標が存在します。

六太には「自分が月面にいる間に、シャロンに月面天文台の完成を伝えたい」という目標がありますし、エディは亡くなった弟・ブライアンが、かつて月面に置いた「兄弟の約束」を自分の目で確かめ、彼との約束を果たしたいと考えていました。

ベティも自分の息子に、亡き夫の代わりに月面から見た地球の様子を伝えるという目標があります。
こうしたいくつもの「自分たちの目標」をメンバーは共有し合い、それを叶えるために全員が協力しているのです。

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宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話

長尾彰 /小山宙哉

『宇宙兄弟』のムッタやヒビト、チーム「ジョーカーズ」の成長ストーリーなどを分析し、自分の得意なスタイルで、今いる仲間をリードする方法を解説する「#宇宙兄弟チーム本」の特別連載。 (毎週土・火 公開予定)

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