無敵」のチームへの道にショートカットはない

「チームの発達段階」の第3ステージ「ノーミング」、第4ステージ「トランスフォーミング」について解説します。理想の組織像の実現にこだわるよりも、 チームが成長していく過程を大切にすることがポイントです。
●話題沸騰『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』特別連載。(毎週火・土)

第3ステージノーミング【規範期】

あくまで私見ですが「ノーミング」のステージまで発達したチームは、第2ステージまでと比べると、やれることはじつはそれほど多くないと思っています。
なぜなら、「ノーミング」まで発達したチームは、誰かに何かを指示・命令されなくても、リーダーが「管理」をしなくても、自分たちの力で話し合い意思決定をしていくことができるからです。

こういうチームは「自分たちでやることが当たり前」なので、「チーム感」が目立たなくなるのです。むしろ、リーダーがよかれと思ってすることがチームの活動を害してしまうこともあります。
「このやり方で本当に大丈夫かな?」
「ほかにもっといい方法があるとしたら?」
「私たちにとって、一番いい選択肢はどれだろう?」

こうした「問いかけ」をリーダーがメンバーに対して自然にできるのが「ノーミング」で、これらの問いかけに対してメンバー全員が納得したうえで実行へと移していきます。

成長の過程があってこその「トランスフォーミング」

さらに第4ステージの「トランスフォーミング」になると、メンバーには「あうんの呼吸」と呼ばれるような確固とした信頼関係とチームワークが備わっています。
「私たちには、もともと敵などいない」と思えるような「無敵」のチームの誕生です。

余談ではありますが、マネジメントや組織論の分野で世界的ベストセラーとなった、フレデリック・ラルーの著書『ティール組織』(英治出版)で定義されている「進化型(ティール)組織」とは、チームの発達段階での第4ステージ「トランスフォーミング」に当てはまると思っています。

ティール組織の特徴は、従業員は上司に指示・命令されて受動的に働くのではなく、一人ひとりが自分らしさを最大限に発揮しながら、自ら意思決定をしていくところです。
また、強制的な上下関係や、支配的な管理が少ない環境で、チームワークを重視して組織の存在目的を実現しようとする、有機的で生命体のようなモデルです。

ラルーは、時代の遷移と共に変化してきた組織形態をレッドやアンバーといった色にたとえて紐解きながら、現代の組織の多くが、上下関係や成果主義による副作用や多様性とのギャップに苦しんでいると分析しています。

そして、新たな時代に適応するモデルとして、自主経営(セルフ・マネジメント)、全体性(ホールネス)、存在目的を重視した「ティール組織」を説いています(ティールとは、このモデルを象徴する青味がかった緑色の名前)。

僕自身も大変刺激を受けた書籍です。
しかしこの組織モデルに感銘を受け、いきなり「ティール組織」を目指そうとするのであれば「ちょっと待って」と声をかけたくなります。

その理由は、「チームの発達段階」の原則としてあげている次の視点でチームビルディングを見立てているからです。

●チームは、第1ステージの「フォーミング」から始まり、第2ステージの「ストーミング」を経て、第3ステージ、第4ステージへと発達・成長していく。

●個の能力が高い優秀なメンバーを集めたチームでも、第1ステージからいきなり第3ステージや第4ステージへジャンプすることはない。

すでに第3ステージの「ノーミング」まで成長しているチームはさておき、多くの組織は「フォーミング」や「ストーミング」である可能性のほうが高く、この成長過程を無視して第4ステージに該当する「ティール組織」を目指すことは、たとえて言うなら3歳の子どもが大学受験に向けた塾に通うようなもの。

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長尾彰 /小山宙哉

『宇宙兄弟』のムッタやヒビト、チーム「ジョーカーズ」の成長ストーリーなどを分析し、自分の得意なスタイルで、今いる仲間をリードする方法を解説する「#宇宙兄弟チーム本」の特別連載。 (毎週土・火 公開予定)

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