前回まで、公衆の面前では怒りを見せることが少ないマレーシア人について書いてきました。
マレーシアに来た日本人が驚くのは、お店などでのんびり仕事をしている人が多いことです。
実はマレーシアは外国人労働者が5人に1人はいると言われ、店員やウエイターとして働いている人には周辺国からの出稼ぎの人も少なくないです。試しに「どこからきましたか」と聞けば、フィリピンやミャンマーなど、周辺国の国名を聞くことがあります。
コンビニの店員さんはだらだらとケータイを見たり、おしゃべりしたりしているし、ウエイトレス・ウエイターのみなさんは仕事中でも冗談を言って大笑いしていたります。
一方、日本からマレーシアに来て、「こんなのでいいのか?」と憤慨する日本人も多いです。
ところが、実際には、そういう態度を怒鳴ったり説教したりする人の方が、嫌われてしまうんです。
マレーシア人が最悪と感じるマナーは「ウエイターに無礼な人」
マレーシアで一番嫌われるマナーは「レストランで威張る人」だという調査結果があります。
「チリソス」というマレーシアのウエブサイトが、スタンダード・チャータード銀行と共同で行った調査に寄れば、レストランでマレーシア人が「最も嫌う行為」は、「ウエイターに無礼な人」なのだそうです。1278人のマレーシア人の聞き取りによるものです。
比較的フレンドリーな人が多いマレーシア人ですが、もちろん、なかには横柄だったり感じの悪い人もいます。しかしそういう人は大抵の場合、軽蔑されてしまうのです。公衆の面前で怒りを見せる人が「幼稚だ」と思われるのと似ています。
確かにマレーシアのレストランでは、お客が店員にクレームを延々とつけているのを見ることが非常に少ないです。
それどころか、マレーシア人とレストランに行くと、ウエイトレスやウエイターにまるで友達のように接する人が多いのです。ママックと呼ばれるインド系のレストランなどではウエイターのことを「ボス」と呼ぶお客さんもいて、どっちがどっちだかわからなくなります。
これについては、Tallypressというマレーシアのメディアが「10 Ways Malaysians Call Each Other」という記事で理由を説明していました。
それによれば、何もマレーシアでボスと呼ばれるのはインド系レストランの店員だけではなさそうです。
「マレーシアではママックのウエイターだろうが、タクシードライバーだろうが、床屋だろうが、誰でもボスと呼ばれることがある。別に彼らがあなたのボスであるわけではない。おかしいかい? だけど、彼らは実際尊敬すべき対象なんだよ」と説明しています。
(In Malaysia, whether it is the Mamak waiter, the taxi driver, or the barber, anyone can be called a boss and you don’t work for any of them. Funny isn’t it? But it’s surely respectful.)
マレーシア人と接していてよく言われること、それは「リスペクトがあるかどうか」ということです。どんな間柄でもリスペクトしなさい、と。宗教にしても、店員と客の関係にしても、尊敬に欠けた態度はよくないとされるようです。
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