ユウカも渋沢も、車の中で放心状態で横になっていた。
2人で同時にオナニーをするという人生で初めての体験をしたユウカと、それを指示した渋沢。
お互いが絶頂に達した後、刹那、冷静になるかと思ったが、いまだ胸はドキドキしている。
しばらくすると、渋沢がようやく口を開いた。
「ユウカさん、送っていくよ」
ユウカは何も答えない代わりに、助手席のドアを開いて車を降りた。
「ユウカさん! ……」
渋沢は何か言おうとしたが、二の句が継げない。
ユウカは「歩いて帰る」とポツリと言った。
気まずいのはお互い様なのか、渋沢はそれを引き止めてはこなかった。
ユウカは夜道を一人で帰る中、ずっと車の中で起きたことを考えていた。
「どうして、こんなことになったんだっけ……」
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