黒木華は昭和の匂いがする」と言っちゃう傾向

今回取り上げるのは俳優の黒木華。確かな演技力が評価され、次々に新しい映画やドラマに出演、現在放送されている『凪のお暇』も話題になっています。そんな黒木華の特性について、武田砂鉄さんが分析します。

そちらもこちらも困っている

7月クールのドラマ、ひとまず、黒木華主演『凪のお暇』と石原さとみ主演『Heaven?~ご苦楽レストラン~』を見てみたが、続けて見ているのが前者だけなのは、後者の主演の演技を見ていると、「過剰な演技で周囲をあたふたさせる感じ」に色濃い既視感があったからで、「石原さとみがいつもの過剰な演技をしている」という状態に脳内が支配され、内容に入っていけない。それを、女優としての存在感と言うこともできるのだろうが、存在感がいつも同質であるって利点なのかどうか。『古畑任三郎』以降の田村正和がホームドラマに出ても古畑任三郎がチラついたのは、本人の演技力というよりも受け手の認識なのかもしれない。演者たちが視聴者に向ける文句があるとすれば、「前の役を引きずられても困るんですけど」、ではないか。そちらも困るだろうが、こちらも困っているのだ。

笑福亭鶴瓶に「いい話」を話させない

黒木華の『重版出来!』での新米編集者役、『獣になれない私たち』での元カレの家に居候する役を色濃く記憶しているが、それでも、最新の役にその時の記憶が滲みこんでこない。笑福亭鶴瓶が、ゲストのキーマンたちにあらかじめ取材を敢行し、スタジオに来たゲストに「実は〇〇さんに話を聞いたんやけども……」とエピソードを話しながら進行していくトーク番組『A-Studio』に黒木華が出ていた。女優・吉田羊や映画監督・中島哲也などから収集した「こう見えて意外と」系のエピソードを五月雨式にぶつけていたが、そもそも、「こう見えて」が明確ではないので、暖簾に腕押し感が強かった。

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往復書簡 無目的な思索の応答

又吉直樹,武田砂鉄
朝日出版社
2019-03-20

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

elba_isola |武田砂鉄 @takedasatetsu |ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜 黒木華は旅するフランス語のイメージ。意外と出演作は観てないなぁ。 https://t.co/5QSVS6IBLV 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

okadappa 今回も面白い。三浦春馬とか菅田将暉とかにもこのカッコよさを感じるな。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

kareigohan42 凄いこんな褒め言葉ある!?ってぐらいのそれ >人間の性格って50パターンあるけど、これもこれもできるよ、ではなく、人間の性格って68000パターンあるらしいけどこれもできる、という感じが黒木華にはある https://t.co/rYVyIIDZgq 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

kiki85641279 読みながらヘドバン。うんうん。華さんには無限の可能性があるような気がします。松本清張『疑惑』見ておったまげました。 https://t.co/Djj7MsyvaC 約2ヶ月前 replyretweetfavorite