ピタゴラスは「ある数字」のために人を殺した?!
分数と小数は親戚同士で、同じ数を別々の方法で表すことができます。例えば、0.5は1/2 とも書けるし、 0.3333……は、1/3 とも書けるという具合です。でも、いつだってそうだとは限りません。実は、分数では表せない数もあるってご存知でしたか?
0.17839271のように、小数点以下が途中で終わっている場合は、17839271/100000000といった具合に、必ず分数に書き換えることができます。けれども、小数点以下が無限に続く場合は、分数で表せないものが出てきます。もっと具体的に言うと、分数で表せるかどうかは、小数点以下に繰り返しパターンが出てくるかどうかで分かります。分数で表せる数は、小数点以下に繰り返しパターンが登場するのです。例えば、
1/7=0.142857142857142857……
といった感じです。この場合、「142857」が繰り返されています。
このように、分数で表すことができる数のことを「有理数(ゆうりすう)」と呼びます。けれども、繰り返しパターンが出てこない数もあります。 よく知られているのが、円の直径と円周の比である「円周率 π」です。みなさんは、円周率を何桁まで言えますか?ちなみに著者は、語呂合わせで40桁まで覚えています(役に立ったことはありませんが)。40桁までπを書いてみると、
π=3.1415926535897932384626433832795028841971……
となります。
繰り返しパターンは見えませんね。実際、コンピューターで何億桁、何十億桁と計算しても、繰り返しは出てきません。同じようなことが、√ 2(2回掛けると2になる数)にも言えます。ちなみに、最初の数桁は√2=1.41421356 ……となりますが、どこまで行っても繰り返しは出てきません。このような、小数点以下が無限に続き、かつ繰り返しパターンが出てこない数字は分数で表せないことが分かっていて、「無理数」と名付けられています。「分数で表すことが無理な数だから無理数」と考えると覚えやすいかもしれません。
分数で表せないことを証明する
しかし、分数で表せないと言われても、なかなかピンとは来ないものです。例えば、
14/10(=1.4),
141/100(=1.41),
1414/1000(=1.414),
14142/10000(=1.4142), ……
のように、分数を√2に頑張って近付けていくと、いつか √2にたどり着きそうな気もします。それなのに、決して分数では表せないと、なぜ言えるのでしょうか? 実は、√2が分数で表せると仮定して計算をすると、ヘンテコな結果になってしまうのです。今から、それを証明しましょう。仮に、√2が分数で、
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。