マンガ『宇宙兄弟』に学ぶ「チームづくり」の教科書

『宇宙兄弟』の六太(ムッタ)やチーム「ジョーカーズ」の成長ストーリーを分析した、『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』の刊行を記念して、cakesで連載がスタートします。著者・長尾彰氏の特別インタビュー記事【前編】とあわせてお楽しみください。
(毎週土・火公開)

無敵のチームづくりは正反対の2人から始めよう

「チームづくりは、何人で始めればいいですか?」

もし、あなたがこのような質問をされたら、どう答えますか?
そのチームが何を成し遂げたいかによって人数の規模は変わりますが、一般的には、「なんとなくチームとしてまとまりそう」というイメージから、5~6人程度を思い浮かべるのではないでしょうか。

僕が実際にファシリテーターとして関わったことのある企業でも、チームの単位が5~6人で構成されている組織がとても多いなと感じています。その中でリーダー職の人物を決めて、「さあ、チームビルディングをしましょう」というパターン。

メンバーが選んだリーダーではなく、上司から「じゃあ今日から君がリーダーね」といきなり指名されたリーダーは、メンバーをどうまとめていけばよいのかわからず、不安を感じている場合もあります。
そんな不安を感じているリーダーを見かけたときには、「チームづくりは、2人から始めましょう」と提案しています。

そもそも、リーダーが1人でチームをつくろうとし、1人で全員をまとめようとするから大変なのです。まずはもう1人の仲間を見つけて、2人でリードしていきましょう。

チームづくりは、「Co(共同)」でリードする、「Co-Lead(コ・リード)」から始めることを、僕は強く強くおすすめします。
ジョシュア・ウルフ・シェンクの著書『POWERS OF  TWO二人で一人の天才』(英治出版)には、この「Co-Lead」で事業を成功させた組織の事例が紹介されています。

例をあげると、アップル創業者のスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック。ビートルズを結成したジョン・レノンとポール・マッカートニー。「投資の神様」と呼ばれているウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーなど……。

この書籍に登場する人物に限らず、日本の企業においても、「1人+1人の出会い」によって偉業を成し遂げている事例は数多く存在します。
そして何よりも「Co-Lead」の魅力が盛り込まれている物語といえば、やはり『宇宙兄弟』でしょう!

『宇宙兄弟』も、タイプの違う2人から始まった

物語は、2人兄弟の兄・南波六太と弟の日々人が、小学生のころに起きたある事件をきっかけに、共に「宇宙飛行士になる」という夢を抱くシーンから始まります。

時を経て日々人は夢を叶え、日本人初の月面着陸を成し遂げた宇宙飛行士に。一方、六太は、勤めていた自動車開発会社をクビになり、再就職にも苦労する日々を送っていました。優秀な弟を持ち、「〝兄〟とは常に弟の先を行ってなければならない」という思い込みに苦しむ六太と、そんな兄の秘めたる可能性を誰よりも信じつつ、自らの道をブレることなく突き進む日々人。

『宇宙兄弟』は、この2人を中心に彼らを取り巻く人たちの物語です。
これがもし、どちらか1人だけの物語だったら……?

凸(でこ)と凹(ぼこ)が上手に重なると「□」になります。お互いの凸(上手なこと/得意なこと/好きなこと)と、凹(下手なこと/苦手なこと/嫌いなこと)を理解したうえで、違いを活かす──。六太と日々人も、タイプの違う2人が補完し合いながら成長し、宇宙飛行士という目標を叶えました。(13巻#129)

六太は宇宙飛行士という夢を取り戻すことなく、サラリーマンとして生き続けていたかもしれません。日々人は宇宙飛行士として月に行ったとは思いますが、月面で起きた命の危機を乗り越えることはできたでしょうか。

事故により宇宙服内の酸素がなくなっていく日々人の居場所を、六太は地上で予測し的中させました。もしこの救出が間に合わなかったら、日々人の物語はここで終わっていた可能性もあるわけです。『宇宙兄弟』ファンとしては、あまりにも悲しい展開ですよね。

僕は、この2人がお互いを補完し合っているからこそ共に成長することができ、そんな彼らの物語に多くの人たちが魅了されているのだと感じています。

完璧ではない2人が出会い、お互いを支え合う。
これがチームづくりのスタート地点です。

さて、ちょっと話は脱線しますが……。
実在する成功者たちの事例を紹介したビジネス書籍と、マンガの『宇宙兄弟』。

この2つを同列に扱うことに対し、「マンガはあくまでフィクシンなのだから、チームづくりにおける参考事例にはならない」と感じる人もいるかもしれませんね。
僕はこうした考え方はもったいないと思います。

そもそも、世の中に実在する企業のどんな成功事例も、当事者以外の人たちにとっては、いくつかの側面を切り取ったにすぎません。物事は視点や視座や解釈、時代によって大きく変わるし、「事実」はとても多面的で複雑に構成されています。特に、チームづくりにおいては先述したように、メンバーや環境が異なる以上、同じ条件を満たせば成功するとも限らないのです。

チームの成功法則は、所属するメンバーでしか生み出すことができないものであり、僕たちが多くの成功事例から得られるのは「正解」ではなく、「学び」や「ヒント」です。

統計学や組織論を研究するなら話は別ですが、あなたが自分たちのチームが成長する糧を求めているのなら、情報源がフィクションでもノンフィクションでも、柔軟に取り入れてみればよいのではないでしょうか。

大切なのはそこから何かを学ぼうとする姿勢と、メンバーみんなで考えながらトライ&エラーを繰り返し、チームづくりに活かしていくことです。

……というわけで話を戻しますと、僕が伝えたいのは、

「チームづくりは、まず2人でリードすることから始めましょう」

ということ。そしてもう1つ、チームの成長を促したいのであれば、
「その1人は、自分と違うタイプの人にしましょう」
です。

これは、ゼロからチームをつくる場合だけでなく、すでに存在するチーム内でも当てはまります。また、ここでの「自分とは違うタイプ」とは、チームをリードする「スタイル」のことを指しています。

望む成果を得るために、タイプの違う2人が組んで、パズルの凸と凹を組み合わせるようにしてチームをリードしていく—。そのためには、まず自分の「リーダーのスタイル」がどのようなタイプなのかを知ることから始めていきましょう!


【まとめ】いきなりチームをまとめようとせずに、まずは一緒に頑張れる「2人」を見つけよう

次回は、8月6日(火)予定です

この連載は、下記の本の内容を元に、cakes用に再構成したものです

コルク

この連載について

宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話

長尾彰 /小山宙哉

『宇宙兄弟』のムッタやヒビト、チーム「ジョーカーズ」の成長ストーリーなどを分析し、自分の得意なスタイルで、今いる仲間をリードする方法を解説する「#宇宙兄弟チーム本」の特別連載。 (毎週土・火 公開予定)

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