毎年8月になると、秋の恒例となりつつあるアップルのスマートフォン「iPhone」の新製品発表を待ちこがれて、ネット上が騒がしくなってくるものです。ちょうど一昨日、米国のネットメディア「AllThingsD」が、アップルの新製品発表が9月10日となることを報じていました。また、そこで発表されると目される「iPhone 5S」は、既にプロトタイプの内部の画像やチップ構成などまでリークされており、マニアックなアップルファンの関心は、早くも来年発売と噂される「iPhone 6」のデザインや機能の予想に移っているようです。
Teach me iPhoneの予想記事
ただ、今年のアップルには、新製品よりも関心を集めるテーマが横たわっています。それは、収益力の回復です。
アップルの株価は、昨年9月に700ドルの高値を付けて以来、4割以上下落したままです。原因は、昨年発売されたiPhone5の売れ行きに、特に今年に入ってから中国などの新興国で翳りが見え始めたためです。このあたり、少し古い記事になりますが、日経の記事がうまくまとめていました。
新興国攻めきれぬアップル スマホ、日米頼み鮮明 :日本経済新聞
この記事によると、アップルの2013年第3四半期(4〜6月期)の業績は、売り上げに占める米国と日本市場の割合が増えており(日米欧の3地域を合計すると約70%)、その一方で中国向けの売上高は前年同期に比べて14%も落ち込み、市場の成長についていけなくなっている、というのです。
チップからアプリまで外注で揃う、スマホのコモディティ化
実は、アップルが苦戦しているのは、中国だけではありません。インド、ロシアなどでも、端末シェアの低下やキャリア(通信会社)との契約解消などが最近話題になっています。
一方、スマホの主戦場は先進国から新興国に移りつつあります。13年のスマホの販売台数予測では、日米欧以外の新興国地域のシェアが65%と、既に市場の過半を超える見通しです。先進国市場への依存度が高いアップルは、今後の成長が鈍化するのではという予想から、株価が低迷しているというわけです。
では、アップルは、なぜ新興国市場で苦戦するのでしょうか。
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