女による女のための性サービスは、「感じさせる」のが目的ではない?

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する日々を綴るこの連載。今回は、女性向けの性的サービスについてのお話です。ネットで「女性が施す、女性向け性的サービス」というものを発見した森さん。そのサービスは何のためにあるのかを考えていきます。

女性というのは、欲ばりな生き物だ。自分を顧みてもそうなのだが、男性よりは「もっと、もっと」が多く、根深い気がする。新しいものにいち早く飛びつくのも女性だし、そのサイクルも早い。年々様変わりする各分野の流行も、まず女性にウケなくては成り立たない。初めての場所などは男性が女性に連れられて……、というパターンが多いのではないか。例えばジビエに熟成肉にシュラスコ、そろそろ下火になってもいいんじゃない?なタピオカだって、男性が率先して試したとは思い難い。

「性に関しては絶対に俺が主導権」

と断言してしまうと、男性陣から反対の意見が届きそうだ。たぶん、「性に関するあれこれは男性が女性を引っぱって行くんだよ」とか、そういう趣かなぁと予測するけれど。「性に関しては絶対に俺が主導権」と胸を張って豪語する男性にそっと耳打ちしたい。「それって女性にマインドコントロールされているかもよ」と(意地悪でごめんなさい)。

だっていくら女性が天下を取ったような風情とはいえ(カフェやレストランにもレディースセットはあってもメンズセットとかボーイズセットってないもんね)、性に関するあれこれについて主張したり指示したりはできかねる。いや、できる女性もいるだろうけれど、おそらく少数だと思う。

なので私は映画『娼年』を観た時に、男娼である主人公のリョウ(松坂桃季氏)の前で放尿をしてみせたクライアントの女性(放尿しないと感じないという設定)に敬意を払いたくなった。演じた女優さん(馬淵英里何さん)にも拍手を送りたい。

つまり映画『娼年』を見本として考えてみると、男娼のような生業の人や後腐れのない人には本音を暴露できても、恋人や夫にはなかなか伝えられない性癖や趣味があったりする。それこそ世の理的には男性側の性癖や趣味がクローズアップされがちだが、女性側だって本当に押してもらいたいスイッチはそこじゃなくてこっちなの!(でも言えない)といった秘密が満載だ。

あるいは、特別な性癖や趣味がないとしても、恋人や夫とのセックスが合わない、またはしばらくセックスから遠ざかってしまったけれど、今更恋活や婚活やセフレを探すのも面倒だ、さらには恋人や夫とはレス状態でどうにもならない、等々、悩みとしてはわりとポピュラーなのに身近な人には相談できないこともある。あげくのはてに40代~50代、なかには30代半ばという若さなのに女としてのデッドラインを自らで引いてしまう。

誰にも相談できない→きっと私がおかしいのだ→男性だって相手にしてくれないだろうし→もうセックスなんかしなくていい、という危険思考。本気でしたくない、という境地に至って本人がサッパリ(実際サッパリするのかも)するのならいい。でも、むりやり思い込もうとするのは、世間に毒されているよ、と警告をあたえたい。自分の欲望をむりやりに押し込めてはいけないよ、いつか支障が出るよ、と。

女性向け性的サービスの多様化にびっくり

とはいえ私もアラフィフ。どんなに頑張って若作りしても、筋トレしても、男性から声がかかる頻度は激減したし、「こうなったらもうお金で買うしかないかね」と、先日丁重にお断りしたママ活のお誘い(見知らぬ男から「ママになってくれませんか」と言われて)を涙目で振り返ってみたりする。

そんなわけで、あれこれ調べてみたのだが、今や女性向け性的サービスが多様化していてびっくりした。男性向け風俗ほど表立っていなくとも、そういった女性向け風俗がまかり通っていたのは私も知っている。でも、さして興味がなかったので検索すらしなかったのだ。

ところが昨今、利用者数も増加しており、年齢層も20代や30代の若い世代だけではない。映画『娼年』の江波杏子さんばりの老女というか老魔女もいるというではないか。一番多いのは40代か50代で、まさに私世代。私が主役ってこと? などとつい胸がときめいたが、まあ、松坂桃季氏が相手してくれるわけではないので資料を読むにとどめた。

そもそも、見知らぬ男性と個室1対1、しかも裸で向き合うのに、おいそれと行く女性がいるのだろうか。HPや口コミなどいくらでも盛れるし、不安感を募らせる女性だっているよね、とさらにディープなところを調べたら。なんと、「女性が施す、女性向け性的サービス」というのを発見したのだ。同性愛者向けではなく、女性施術者が男性と同じようなサービスをするのだという。

ネットサーフィンをしていてたどり着いた情報で、私自身が体験したわけではない。地味目なHPと散発に更新されているブログを読ませていただいただけだ。印象としては、通常のアロママッサージやエステの延長線上といった、なんとなくふわっとした感じだ。身体が気持ちよくなれる、というよりは、気持ちの上でラクになるから身体もほどけていく、といったような。

限りない清潔感と安心感と癒し
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アラフィフ作家の迷走性活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや性への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。47歳の今、自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する...もっと読む

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