メスみとオスみとフレンドシップ
【登場人物】
紫原明子(スペシャルゲスト)
1982年生まれのエッセイスト
著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)がある
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
清田 桃山商事の恋バナ連載、今回はゲストにエッセイストの紫原明子さんをお迎えして、「恋愛と友情」をテーマに恋バナしていきたいと思います。紫原さん、よろしくお願いします!
紫原 よろしくお願いします。
清田 最初に、「恋愛と友情」を考えるための切り口として、“メスみ”と“オスみ”と“フレンドシップ”という3つのキーワードを紹介したいなと。
森田 メスみとオスみというのは、自分の中にあるセクシャリティ(女性性と男性性)みたいなもののことです。性欲も含まれるんだけど、必ずしもそれだけではないのかなと。
ワッコ わたしは、メスみって「自分が女としてありたいところ」や「女っぽいと自分で思っているところ」みたいことなのかなと思ってます。
清田 オスみだと「マッチョさ」みたいなものが、一番わかりやすいかもしれないね。
森田 フレンドシップは直訳すると友情だけど、ここではもうちょっと広い意味で、「人として好き」とか「信頼関係」みたいなニュアンスを含む言葉として使っていきます。
清田 言葉の説明はこれくらいにして、まずは「男女の友情は成立するのか?」という古典的とも言える問題から話していきましょう。
紫原 これって個人差がすごく大きい問題ですよね。
ワッコ わたしは男友達が比較的多いんですけど、彼らといる時は自分のメスみを完全に消しています。
森田 ワッコの中の意識では、一人の「男」として男社会に参加してるってことだよね。
ワッコ 自分では“心の男装”と呼んでますね。
紫原 ワッコさんは、男友達とお風呂に一緒に入ったこともあるって、桃山商事のニコ生番組で話してましたよね。
ワッコ そうなんですよ。学生時代にサークル仲間と旅行した時に混浴の温泉があって、そこに一緒に入りました。女で入ったのはわたし一人でしたけど……。「ここまでメスみを消せる」ということを社会にアピールしたい、みたいな謎の気概がありましたね。
森田 すごい方向の気概だね……。
清田 俺もワッコと同じで、女友達といる時は自分の中のオスみを完全に消してます。「ちんちん生えてないですよ」という姿勢でいないとその場にいられないという感覚があるんだよね。
森田 自分で自分を去勢してるってこと?
清田 そんな感じだと思う。女友達に自分の性を感じられたくないし、彼女たちの性を感じたくもないのよ。だから例えば、女友達が何かの拍子にかがんで胸の谷間が見えそうになった時は、目を背けてしまう。お店のレジで、お客がクレジットカードの暗証番号を打つ時の店員さんみたいな感じで顔を背ける……。
森田 それは逆に不自然な気がするけど(笑)。ワッコはメスみを消してホモソーシャルの世界に入っていき、清田はオスみを消してシスターフッドの中に入っていくわけだね。
紫原 両極端なんですね。
清田 なので俺としては、自分のオスみを消している限りにおいて、男女の友情は成立するというのが実感としてあります。
ワッコ 完全に同意です。
森田 確かに友情ではあるんだけど、ワッコも清田も“同性として”男友達や女友達と接しているわけで、よく考えると「男女の友情」とは実はちょっと違うような気もする。
清田 確かにそうかも。俺たちは“メスみとオスみ”と“フレンドシップ”を完全に分けようとしているのかもしれない。
善人には恋愛は難しい!?
森田 俺自身はメスみとオスみを消さなくても男女の友情は成立すると思ってるんですけど、紫原さんはどうですか?
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