雪の結晶に隠されたロマンチックな秘密とは

身の回りを見渡すと、日常は不思議なほどに美しい「数」の法則にあふれている。そんな「日常にひそむ うつくしい数学」を、京都大学物理学専攻の著者が、小学生でもわかる平易な文章で解説。難しい数式は読み飛ばしても大丈夫。本連載は「日常にひそむ うつくしい数学」(朝日新聞出版)よりお届けいたします。

雪の結晶に隠されたロマンチックな秘密とは


冬の季節、空から降ってきて窓に張り付いた雪をじっくり観察したことはありますか? 雪の結晶をよく見てみると、いろいろなパターンの複雑な形をしていることが分かります。そして、どれも六角形で、五角形や七角形はありません。なぜパターンに多様性があって、そしてどれも六角形なのでしょうか?

まず、なぜ六角形になるかを見ていきましょう。雪は水でできていますが、水は、小さな水の分子がたくさん集まったものです。水のことを別名「H2O」と呼ぶのを聞いたことがあるかもしれませんが、H2Oは、水分子の学問上の正式な名前です。水分子は、酸素原子(化学記号O)の左下と右下に水素原子(化学記号H)が1個ずつくっついたブーメランのような形をしており、OにHが2個なのでH2Oと呼びます。

雪が作られるのは、はるか上空の雲の中です。水蒸気を含む空気が上空へ昇っていって冷やされると、雲の中の細かいチリを芯にして水分子が集まり、結晶が成長していきます。 水分子が結晶を作るときは、図表1−hのようにブーメランの頭としっぽが電気的な力によって引き合う(図の点線部分)ことで、六角形の形を作りながら集まっていきます。水分子が六角形に集まる性質を持つので、それが集まった雪の結晶も六角形になるのです *1 。ちなみに、水分子がこのように 電気的な力で結合することを「水素結合」と呼びます。

*1実は、結晶が六角形になる本当の理由はもっと複雑で、結晶の表面における水分子の安定性を議論しなければなりません。しかし専門的な話になってしまうので、ここでは割愛します。

実は雪に限らず、私たちの身の回りにある氷は全て、水分子が六角形に組み合わさって作られています。レストランのジュースに入っている四角い氷もそうです。では、なぜレストランの氷は六角形でなく四角いかというと、言うまでもなく四角い型に水を流し込んで作っているからです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

文系でも分かる「うつくしい数学」の秘密を、京都大学卒の著者が解き明かす

この連載について

初回を読む
日常にひそむうつくしい数学

冨島佑允

身の回りを見渡すと、日常は不思議なほどに美しい「数」の法則にあふれている。知っているようで知らなかった日常の不思議。身の回りに隠された数の神秘。そんな「日常にひそむうつくしい数学」を、京都大学物理学専攻の著者が、小学生でもわかる平易な...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

ivkky 「雪は天からの手紙」 6ヶ月前 replyretweetfavorite

PagannPoetry 頭がおかしくなるレベルで暑いから、雪の結晶でもみて涼もうかな。 https://t.co/9xhusYrJzb 6ヶ月前 replyretweetfavorite