衝撃】シマウマがしましまな理由は、まだ分かっていない

身の回りを見渡すと、日常は不思議なほどに美しい「数」の法則にあふれている。そんな「日常にひそむ うつくしい数学」を、京都大学物理学専攻の著者が、小学生でもわかる平易な文章で解説。難しい数式は読み飛ばしても大丈夫。本連載は「日常にひそむ うつくしい数学」(朝日新聞出版)よりお届けいたします。

シマウマがしましまな理由は、まだ分かっていない


サバンナには多くの種類の動物が生息していますが、なかでもシマウマはひときわ目立つ存在です。真っ白と真っ黒のストライプ柄は、まるでファンタジーの世界から飛び出してきたかのように鮮やかです。クジャクもそうですが、 鮮やかな模様や色合いを持つ動物は、私たちの心を惹きつけてやみません。けれども、シマウマはあんなに目立っていて大丈夫なのでしょうか? 普通に考えると、目立つ模様をまとっていると肉食動物に見つかりやすいので、生存には不利な気がします。

実のところ、シマウマがなぜあんな模様を持っているのかは、未だに解明されていません。いくつかの説がありますが、 いずれも決め手に欠けています。例えば、次のような説です。

①目くらまし説

シマウマが集団で駆けていると、たくさんのストライプ柄が入り乱れて目がチラチラし、肉食動物を欺くことができるという説です。この説にはピンと来づらいかもしれません。 サバンナの草原の中で白黒の動物がうろうろしていたら、どうやっても目立つように思うからです。けれども、私たち人間は色を識別する能力が高いためにそう感じるのです。

ライオンなどのネコ科の肉食獣は色を識別する能力が非常に弱いので、彼らには世界が白黒テレビの映像のように見えています。草の緑色も、木の茶色も、花のピンク色もライオンには白黒に見えるのです。ですから、白黒の世界の中でシマウマの白黒ストライプがチラチラすると、確かに目くらましになるのかもしれません。けれども、この説は確たる証拠に支えられているわけではありません。実際にサバンナでは、ライオンが毎日のようにシマウマの集団に突進していき、哀れな獲物が捕らえられています。本当に目くらましになっているのかはあやしいとも言えそうです。

②体温調節説

次は少し分かりにくい話になるのですが、ストライプが体温調節に役立っているという説もあります。シマウマのストライプは白と黒ですが、黒い色は熱を吸収しやすく、白は吸収しにくいことで知られています。みなさんも小学生の時に、 虫メガネで太陽の光を集め、紙に当てて燃やす実験をしたことがあるかもしれません。黒い紙だとすぐに燃え始めますが、白い紙だとなかなか火が付かなかったでしょう。

シマウマの体でも同じようなことが起きていて、太陽の光で黒い部分がより温まる一方で、白い部分はなかなか温まりません。その結果、体の表面に温度差が生じます。そうすると、温度差によって空気の流れが発生し、体を冷やすというのです。シマウマのストライプは扇風機代わりということでしょうか。 この説はとてもおもしろいのですが、白い部分と黒い部分の温度差があまり大きくないため、大して風は起きないという説もあり、はっきりしたことは分かっていません。

③社会的役割説

もう一つの代表的な説として、仲間を見分けやすくするた めに、目立つ模様になっているというものがあります。確かに、動物の皮膚や毛の色なんてバリエーションが限られていますから、思い切り目立つ柄をしていれば、同じシマウマの仲間を一発で見分けることができて、迷子にはなりにくいかもしれません。

シマウマは草食獣なので、集団で肉食獣を警戒することがとても重要になります。仲間からはぐれると、一方的に襲われてしまうのです。しかし、この説にも疑問があります。サバンナには、シマウマの他にもガゼルやヌーなどの草食獣がたくさんいますが、そのほとんどは目立たない色をしています。けれども彼らは、 立派に集団行動をしているのです。仮にこの説が正しいとすると、なぜ他の草食獣は目立つ柄に進化しなかったのかという疑問が生じます。

結局のところ、シマウマがなぜしましまなのかは、未だ謎のままです

それを解明するのは、もしかしたらあなたかもしれません。 それにしても、あのような立派な模様はどうやって作られるのでしょうか?その話をするまえに、しましまの謎に迫る話を紹介しましょう。

シマウマは馬とそこそこ近縁なので、シマウマと馬を掛け合わせて子どもを作ることができます。 その子どもは「ゼブロイド」と呼ばれしましま模様を持つのですが、シマウマに比べると縞の間隔が狭く、色のコントラストもはっきりしていないことが知られています。馬には縞模様がないので、色のコントラストが下がるのは何となく分かりますが、縞の間隔が狭くなるのはなぜなのでしょうか?

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この連載について

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日常にひそむうつくしい数学

冨島佑允

身の回りを見渡すと、日常は不思議なほどに美しい「数」の法則にあふれている。知っているようで知らなかった日常の不思議。身の回りに隠された数の神秘。そんな「日常にひそむうつくしい数学」を、京都大学物理学専攻の著者が、小学生でもわかる平易な...もっと読む

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pandao77777 https://t.co/63bu6XHsNo わざと温度差を作って風を生じさせている説なんてあるのか 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

PagannPoetry シマウマのしまができる理由、目くらまし説はどうやら違うらしい… https://t.co/jECDHYjAEG 約1年前 replyretweetfavorite