かつては1キログラム50円で取引され、飼料としても使われていたホッケの卸価格は、今はなんと同2500円を超えた。かまぼこの材料にもなるため「すり身の原料が確保できず廃業するかまぼこメーカーが相次いでいる」(北海道の水産業関係者)。
ホンマグロ(太平洋クロマグロ)やニホンウナギが国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種に指定されたことは広くニュースになった。だが、それだけではない。スーパーに並ぶほとんどの魚種が、漁獲量が減り、価格も高くなっているのだ。
下図は、2006年の日本国内での漁獲量と17年の漁獲量、ならびに10年と18年の消費者価格指数などの価格指標を比べたもの。
ホッケは漁獲高85%減、価格は107%も上がった。イカは67%、ホタテガイが62%、サケも59%と、高級魚に限らず食卓で身近な魚までもが軒並み高騰している。秋の風物詩であるサンマも同様だ。17年はここ50年間で最悪といわれた不漁だった。今年は去年を上回るとはいえ、直近10年間の水準と比べれば全く回復していない。
国内の漁獲量の減少を補う輸入の状況も芳しくない。17年、日本は1兆7751億円を水産物輸入に充てたが、実際に輸入できたのは248万トン。01年にはほぼ同額で380万トン超を輸入できており、購入条件は30%強悪化した(下図参照)。さらに「価格が上がる中、物量を確保しようと、小さいサイズの魚やかまなどの安い部位を買っている」とある水産会社社員は明かす。流通する魚の質も落ちてきているのだ。
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