原酒は樽に詰めて長期間寝かせ、熟成の時を待つ。
その間、樽の大きさや材質、気候風土などにより香味が複雑に変化する
「ほんの数年前まで訪れる人はまばらだった。今は数カ月先まで予約で埋まっている状態」。山崎からウイスキーの魅力を全国へ広める「マスター・オブ・ウイスキー」の佐々木太一氏はそう話す。
1983年のピーク以来、ウイスキーの国内需要は縮小傾向にあった。転機は2008年のハイボールブーム。アルコール度数を低く抑え、食事とともにジョッキで飲めるハイボールスタイルを飲食店に広めたサントリーの営業戦略が、見事にヒットした。
一方で2000年代に入ると、「山崎」や「響」など高級ウイスキーが相次いで海外の賞を受賞。サントリーウイスキーは、数百種類の原酒を造り分け、繊細な味を引き出す長年のブレンド技術が評価され、鳥井氏が夢見た世界的な地位を確たるものにした。
下落の一途をたどったウイスキーの需要が急増に転じた結果、メーカーが今直面しているのが深刻な原酒不足だ。
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