この連載も早いものでもう16回目です。これまでは、時代の一足先を行くシリコンバレーの就労事情を中心に紹介してきました。今回はこの連載の最初の区切りとして、今後の私たちは生きていくためのヒントをシンプルにまとめてみましょう。
ある家族の話
杉森さんはある都銀に勤めるエリート銀行マンでした。一流大学を卒業して銀行に就職。40代で支店長に抜擢され、大勢の部下を抱えて多忙な日々を過ごしていました。週末はいつも接待ゴルフ。美人の奥様は素敵な新築の家で、中学生と小学生の子供2人の子育てに専念。分かり易過ぎるほど昭和的な、盤石の人生なはずだったのです。
そんな杉森さんの人生を一変させたのは、90年代の大手金融機関の連続倒産です。杉森さんが勤める銀行もあの金融危機の影響を大きく受け、別の銀行に吸収されることになったのです。支店の統廃合や人員削減がおおっぴらに検討され、社内で希望退職が募られるようになりました。合弁後の体制では杉森さんは外様の身です。人生の再設計を余儀されなくなったの杉森さんは希望退職に応募し、割り増しされた退職金を手に20年以上勤め上げた銀行を退職しました。
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