ライバルはシャンパン 炭酸入り日本酒が狙う世界の乾杯市場

【キーワード① 土俵をずらす】

 食事の前に嗜まれる食前酒。その定番は炭酸ガス入りの酒。「取りあえず」のビール、改まった席ではシャンパンだろう。シュワシュワと立ち上がる泡と香りが、これから迎える食事を楽しむお膳立てをし、場のムードを盛り上げてくれる。

 食事をしながら飲む食中酒のイメージが強い日本酒だが、炭酸という要素を加え、勝負する土俵をちょっとずらすことで、新しい成長機会が広がる。

 そもそも日本人は“泡”好きだ。ビール、酎ハイなどを含む炭酸入りアルコールの割合は、日本のアルコール市場の6割を超える。

 2018年10月17日、第2回awa酒認定式が開催され、12蔵18銘柄が披露された。awa酒とは、一般社団法人awa酒協会が認定したスパークリング日本酒の呼称だ。純米醸造であること、瓶内2次発酵であること、澱引きされた透明の酒であることなどの基準をクリアして製造されたもので、「世界の乾杯酒を目指す」とうたう。

 前自民党農林部会長の小泉進次郎衆議院議員も、認定式に参画し、「世界に持っていける。頑張ってほしい」とエールを送る。

 awa酒協会の認定銘柄の出荷本数は、直近の1年間で10万本。「10万本の市場をわれわれは新たにつくった」と自負する永井則吉・awa酒協会理事長(永井酒造社長)が見据えるのは、世界の乾杯酒の代名詞、シャンパンだ。

 日本の輸入量は17年、前年比18%増の1287万本に上る。そこに割って入ろうというのである。

 「この5年間で、シャンパンの10分の1くらいのマーケットをつくるのが目標だ。awa酒で130万本を売りたい」(永井社長)

 そんなスパークリング日本酒市場開拓の先鋒ともいうべき蔵元が、「七賢」の山梨銘醸である。

 北原対馬社長は10年当時30あった日本酒を10に集約。経営資源をスパークリング日本酒に投入し、大きくかじを切った。

 5年の試行錯誤の後、15年に薄にごりタイプの定番商品「山ノ霞」を発売、翌16年には澱を抜いたawa酒協会認定の「星ノ輝」、17年には同じく「杜ノ奏」を上梓。今や売り上げの25%をスパークリング日本酒で稼ぎ出す。「5年以内に半分になる見込みだ」(北原社長)と勢いを増している。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

週刊ダイヤモンド 2019年1/12号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2019-01-07

この連載について

初回を読む
変わります! ニッポンの「酒」

週刊ダイヤモンド

縮小が続くニッポンの酒市場。背景には人口減少や消費者の嗜好の多様化などさまざまな環境変化がある。しかしここにきて、そんな成熟市場で新たな胎動が起きている。既存の枠組みにとらわれない挑戦者たちによって、ニッポンの酒が変わり始めているのだ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード