家族が病気をするとか子供が生まれるなどの大きなストレスがかかると夫婦関係が危機に直面することはよく知られている。わがままさとか思いやりのなさとか、これまで見過ごしてきた欠陥が虫眼鏡で見るように拡大されるからかもしれない。
わが家では2015年から16ヶ月にわたって増改築を行ったのだが、こういった楽しいはずのことでも夫婦の危機は訪れる。ふつうの日常生活なら直面せずにすむ数えきれないほどの問題に対応せねばならず、意見が対立することが増えるからだろう。よく知っているはずの伴侶に対して「こんなに趣味/頭/性格が悪かったのか!」という意外な発見をすることになり、「自分のみが正しい」という傲慢な態度の相棒に対してこれまで忘れていた我慢の記憶までが蘇る。そして「こんな奴とはもう一緒にはいられない」という心境になってしまうようだ。
「大金をかけてすばらしい改築をしたが、その後で夫婦は離婚して家を売った」というケースはけっこうあるようで、わが家で増改築を始めるときに親友がそんな記事を切り取って「こうならないように」と注意してくれた。
この中で家事と仕事の両方を続けた私は14ヶ月くらい経ったころ壊れそうになったのだがなんとか乗り越えた
増改築での夫婦の危機はなんとか乗り切ったが、自宅ウエディングもかなり大きなストレスをもたらすことが予想できる。
そういった危機を回避するために役立つのが、2人で話し合って作る「ミッション・ステートメント」である。
自宅ウエディングのミッション・ステートメント
「ミッション・ステートメント」は、企業や組織の理念、方針、使命を明瞭に示したものだ。日本語では「社訓」と訳されることが多いようだが、日本の社訓とは本質的にかなり異なる。
その組織や企画で行うことは、すべてこの「ミッション・ステートメント」に沿うものでなければならない。企画に関わる者全員が同意するステートメントがあると、難問が持ち上がるたびに異論があっても歩み寄りしやすくなる。また、外部からの圧力に影響されたり、流されそうになったり、迷ったりしたときに初心に戻って本当に重要なことを見直すこともできる。
わが家のウエディング計画のミッション・ステートメントは、「結婚する2人が心から楽しめて、思い出に残る1日を作る」である。
そのステートメントにそった基本方針と注意事項は次のようなものだ。
2.結婚する2人が重視することを尊重する
3.その次に重視するのは、親の私たち。私たちがストレスや余計な出費で不幸になったら新郎新婦も困る
4.花嫁になるべくストレスを与えない
5.結婚する2人と私たち親が重視しないものは、「常識」とみなされていてもカットする
6.それぞれが貢献できる技能や長所、意見を尊重する(自分だけが正しいと思わないこと)
7.関わる者の責任範囲を明瞭にする
8.コミュニケーションを取る
9.完璧は目指さない。どんなに準備しても、当日には必ずうまくいかないことが起こるだろう。その場合には気にせずに、「楽しむ」ことに集中する
ざっと読めば、当たり前のことに思えるかもしれない。
だが、現実の結婚式でこれらの条件を満たしているものがいくつあるだろう?
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