前回まで、マレーシアでは人前で怒りを見せる人が少ないというお話をしました。
怒ってばかりの私が気づいたことは、怒ると損をすることが多い、ということです。
怒る人は、ここではどのように損をするのでしょうか。
「怒る人」は感情をコントロールできない幼稚な人
実はマレーシアにも怒る先生は結構います。古いタイプの学校では特に多いです。
ある中華学校のオーケストラに行ったら、延々と団員に怒鳴りまくる華人の指揮者の先生がいました。私は「怒りん坊はマレーシアにもいるんだな。そういえば、日本にはこういうタイプの指揮者が多かったな」と懐かしく思ったのですが、団員達は口々に、
「あんなに怒ったらピアニッシモなんて吹けないよね」
「しょーがない。ああいうコミュニケーションしか知らないのよね」
「典型的な中華学校の古いスタイルの先生だな」
といい、哀れみの目で見ていました。
別の例をお話ししましょう。マレーシアの不動産業者2人と賃貸物件を見に行ったときのことです。その家に住んでいた韓国人の男性が、訪問の仕方が気に入らないと言って、すごい勢いで彼らを怒鳴っていました。
ところが、彼の家を出た後、マレーシア人業者同士はけろっとした顔で会話していました。
「あー怖かったー。なんだってあんなに怒るのかしら」
「機嫌が悪いだけでしょ。もうあの人に関わるのはやめよう」
「そうしましょう。あー怖かった」
こんな感じで、自分たちの責任だとか、次は怒られないようにしようとか、お詫びで誠意を見せようとか、そういう発想には行かないんですね。たぶんこの韓国人はその後、多くの不動産業者から避けられ、損ばかりするでしょう。
別の会社にインタビューしたときのこと、社員の採用条件が「怒りのコントロール(アンガーマネジメント)ができることですね」と言われて、これにも驚きました。
マレーシアでは他人に怒りを見せることは良くないと思う人が多いようです。以前一緒に働いていたマレー人が、「怒っている人は感情のコントロールができない、かわいそうな人と見なされて、人が離れていきますよ」と言っていたのですが、どうやらそれは本当のようです。怒る人は避けられます。電話しても返事はなくなり、仕事は後回しにされます。良いことはないのです。
トラブルの元にもなる「怒り」
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