常連考【パリッコ】

「マスターいつものね」なんてドラマのワンシーン。そんな常連像にちょっと憧れたりもするけど、ちょっとまてよ…その人本当に常連でしょうか。今回はパリッコさんによる、奥深くて温かい常連考です。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

常連とは?

どんな酒場にも、そのお店の「常連」と呼ばれるお客さんがいます。
お店の扉を開けた瞬間に、「あら〇〇さん!」などと名前を呼んでもらう。女将さんに「いつも来てくれるから、ハイ、これ」などと小皿料理をサービスしてもらう。メニューにないものをリクエストし、応じてもらう。そんなシーンに憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。 しかしそもそも、常連ってどういう存在のことをいうのでしょう? 試しに辞書を引いてみると「その興行場・遊戯場・飲食店などに、いつも来る客」とあります。確かにいる。そういう人。だけど、「いつも」ってつまりは「毎日」ということですよね。なかなかにハードルが高い。同じお店に毎日通わなくたって、その店の常連とされているお客はたくさんいる。ではどこからが常連なのか? 週1? 月1? もちろん、厳密な規定はありません。が、ひとつだけ大前提はあります。それは「自分から名乗るものではない」ということ。知人を連れていったお店で、大声で「オレ、ここの常連だからさ〜」なんて宣言することは愚の骨頂。酒場でのタブー行為であるとすら感じます。常連とは、あくまで店主や店員さん側が認定するもの。もしくは、他の常連客からそう認められるもの。酒場で飲むうえで、このことだけは忘れないようにしたいものです。

どんなに頻繁にひとつのお店に通っていても、毎回悪酔いして迷惑をかけるような飲みかたをしていては、常連と認められることはありません。逆に、そのお店に2、3度通っただけで、他のお客を交えた会話の中で「こちら、うちの常連さん」なんて紹介されることもある。つまり常連とは、お店側が「いいお客さんだな」と感じたところから始まる、そのお店との良好な関係性を表す言葉といえるかもしれません。 そもそも目指すものではありませんが、よく通っている飲み屋で、店員さんが忙しそうでないタイミングで注文するとか、満席のところに一見らしきお客さんが入ってきたら、「そろそろ出ますんで」と席を譲るとか、注文を忘れられたり間違われたからといって高圧的な態度を取らないとか、ごく一般的なマナーを守って過ごしていれば、誰もが自然と、そのお店の「常連さん」になっていることでしょう。

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“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

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