ワタナベアニです。
ポートレートは当然、人を撮るんですけど、人間の情報量の一番多いところは「顔」です。だから、ほとんどの場合は正面に近いところから撮りますよね。でも、後ろ姿に何かを感じることもあります。それは物語を想像させる空白部分が写るからかもしれません。
すべてをあからさまに写してしまわず、何かしらの余白を残す。5枚の組写真であれば、顔のアップや全身が写っているモノなどの中に、1枚の後ろ姿が入っているとどうでしょう。何をしているか丁寧に説明したい写真、考えさせたい写真、そのバリエーションがあると全体のストーリーがより豊かになります。
何をしているかはわかるけど顔が見えない、顔も見えないし何を考えているかもわからない、カラダの一部分しか見えていない。そういった、幕の内弁当で言えば柴漬けのような役割の写真が効果を生むことも憶えておいてください。
海老フライと豚カツとハンバーグ、とワンカットずつに強烈な思い入れを込めると、食べる人は疲れてしまいます。説明しすぎず、想像させる余地のある写真を撮るために、見せたい被写体の正面に行くのをぐっと我慢して、柴漬けにもトライしてみてください。
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