ロードオブメジャー」を歩んだ北川けんいちが、いままた、生まれかわろうとしている理由

8月に京都でのライブを控えるシンガーソングライターの北川けんいちさん。”嘘”を歌にできなかったがゆえにバンド解散も経験した北川さんの、歌づくりと人生への思いとはどのようなものでしょうか。美術、写真、文学、建築などのテーマについて作家活動を続けるアートコンシェルジュの山内宏泰さんが、その「美しさ」を探ります。

美をさがし求めるのが生業である。

こんな、うつくしいものを見つけた。

紆余曲折を経て、うたうことをイチから問い直すことでたどりついた、ひとりのシンガーソングライターの新たな歌声。

嘘のない歌をうたいたいから、いまのスタイルになった

 北川けんいちは、すこし焦っていた。

 この6月のこと。8月末に控えるライブまでに、新曲ふたつ用意することを自分に課した。

 それがまだ、仕上がっていなかった。もちろん毎日つくる作業を続けているし、手応えを感じる音が浮かぶ瞬間もあるけれど、思った通りの曲がかたちを成すには至らない。

「頭に浮かんだフレーズはすぐにボイスメモを録るようにしていて、こないだの週末なんてメモが7つも8つも溜まったし、今日の朝は起きた瞬間にすぐ録りました。夢のなかでも歌つくっていること、けっこうあるんです。それなのに、なかなか曲としてまとまらない。
 まあ、焦ってもしかたないんですけど。僕の場合いつだって生活のなかから曲が生まれて、それを歌ってきたので。いつも通りの暮らしをしながら、歌のことを考え続けるしか方法はないんですよね」

 音楽をつくるやり方は以前から変わらないし、たぶん他のやり方はできない性分なのだと感じている。

 2000年代を通して、彼はメジャーバンド「ロードオブメジャー」のボーカリストとしてフロントに立ち、曲づくりも中心になって進めていた。

 ロードオブメジャーは、曲調も歌詞もきわめてストレートだった。そのまっすぐさが若い世代の胸に深く刺さり、人気は沸騰した。

 が、やがて北川が曲を書けなくなったことも一因となって、バンドは5年間の活動を終えた。楽曲の提供を受けながら活動をしていく選択肢もあったけれど、それは受け入れ難かった。

「『これは自分の思っていることじゃない……』。他の人がつくった曲だと、どうしてもそういう部分が出てくるでしょう? それじゃ歌えないなと思った。社会人、仕事人としては、わがまま過ぎるのかもしれないけれど、そこは譲れなかったですね。それをしたら僕が歌う意味がなくなってしまう」

 10代でバンドを始めてこのかた、音楽をやるうえで最重視していることは変わらない。

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美をさがすのが人生で唯一の目的である

山内宏泰

美術、写真、文学、建築などのテーマについて作家活動を続けるアートコンシェルジュの山内宏泰さん。テーマの根幹にあるのは、「美しさ」でした。美しさとは果たしていかなるものなのでしょうか。毎回、各界でこれぞという人に話を訊きながら、「美しさ...もっと読む

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___M_85___ https://t.co/9T8mnpjov4 ママの推し。私はROMを聴いて小学生過ごしたし、何かあると今でも聴きたくなる歌たち。ママについて一緒に全国のライブハウス回って、楽しそうにしてるママが凄く自慢だったな〜! アニメ… https://t.co/IwfDypczus 3ヶ月前 replyretweetfavorite

kawahao 今日はコルクラボの日。「好きになる歌詞とは?」の問いに対して、グループディスカッションしてからの集合イベント。結構語ってからの、ゲスト北川さんの言葉に触れられるということで楽しみ。行ってきますー。 https://t.co/ma2JSkLJQ9 3ヶ月前 replyretweetfavorite

slo_aomori https://t.co/431mTZo0xf うそやん。サンティに見えてきた 4ヶ月前 replyretweetfavorite

gap755 好きやったな。 あと、サムシングエルスと。 4ヶ月前 replyretweetfavorite