「だから、その日、がーっと勢いで、30件成約させましたよ」──
「部長のカツラがポーン! て取れて。みんな腹抱えて大爆笑だったんだから」──
「その店って、ほんとは有名人しか入れない店らしくてさあ。緊張したよ」──
話をやたらに盛る人っていますよね。
いくらなんでも都合が良すぎる。おおげさで怪しい。あからさまなウソなのに、なぜか本人はあっけらかんとしている。どこか自慢げでムカつく。
ですが、「ほんとかよ」「証拠見せてみろよ」とたしなめようものなら、「何だよ、堅苦しいこと言うなよ。ノリ悪いなあ」と、まるで、こっちが空気の読めないヤツのような扱いを受けてしまう。間違いをただしたのに悪者扱い。これでは納得がいきません。
だからといって、放置しておくとどんどん「盛り」はふくれあがる。エスカレートするウソにこっちのストレスは溜まる一方。
他愛ない話ならまだしも、仕事の場面であれば、大きなトラブルにもなりかねません。
ウソだ! と指摘もしづらいけれど、放っておくと大変なことに。
なにかいい方法はないのでしょうか?
◆「盛り」とは「ノリ」である
話を盛る人たちは、「ノリ」で話しています。
「ノリ」、つまり、その場の空気がワイワイと盛り上がることを目的に話しているので、正しいかどうかはどうでもいい。楽しければいいし、話がふくらめばそれでいい。サービス精神が旺盛で、多少のウソなら平気でついてきます。
つまり、「盛り」と「ノリ」と「ウソ」はセットなのです。
ですから、きちんとした性格のあなたが「大げさなことを言うな」と指摘すると、「場が盛り下がった」「空気が悪くなった」と言われることに。
相手には「ノリ=全体の空気」という強い味方がついているので、せっかくあなたが正しいことを言っても、受け入れられない。
また、完全なウソではないのも、タチが悪いポイント。
冒頭の例にしても、「契約を取ったこと」「部長のカツラがずれたこと」「有名なお店に行ったこと」自体は、ウソではないでしょう。本当におきたこと。真実。だから「ウソをつくな」と言い返しても効果はありません。
「ウソをついてるわけじゃない。脚色してるだけだ」……。いやはや、盗っ人猛々しいとはこのことです。
なんとかしてこの人たちの「盛りグセ」をストップしたい。そのためにはどうすればいいでしょうか?
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