「ええ、絶対だいじょうぶです。ですから、ほら、契約のほうをぜひ。すぐに、ほら、はい、はんこをこちらに」——
「えー? いいから行こうよ。いいじゃん、いいじゃん。だって、行くって言ってたじゃん。早く、早く、急がないと」——
セールスマン、営業マン、得意先の担当者……。なにかと強引に話を進める人、いますよね。こっちとしては、ペースに巻き込まれてつい慌ててしまいます。
その結果、買わなくてもいい物を買ってしまったり、うまくいくはずのものがうまくいかなかったり。
一度相手のペースに巻き込まれてしまうと、取り戻すのは大変。
「ちょっと待ってください」「考えさせてください」と、ペースを落ち着かせようとしても、「急がないと」「なくなっちゃいますよ」と、ここぞとばかりに急かしてきます。
「もういいです!」「要りません!」とキッパリ断っても、今度は「どの辺が気になるんですか?」「どこだったらいいですか?」と、あの手この手で食い下がってきます。
なぜ強引な人の誘い文句は、うまく断れないのでしょうか?
上手な断り方はないのでしょうか?
◆勢いが9割、内容は二の次
強引な人たちは、勢いを大事にします。
たいていの強引な話は、あとでよくよく考えれば、言ってることがおかしかったり、矛盾していたりするものです。ですが、そのときは気づけない。
なぜかというと、強引な人たちは、「勢いだけ」で話してきているからです。
俗に「人に伝わることの7割以上は、言葉以外の要素(身振りや表情)による」といわれますが、この人たちは最初から、筋道立った話をしようなんて思ってないのです。
ペースにはめる、勢いでうんと言わせる、一度うんと言わせたらそれをよりどころに一気に契約・購入まで持っていく。
その一連の流れは、完全にテクニックとして確立されています。いわばプロのトーク。素人が、張り合っても勝てるものではありません。だから、ついつい、相手のペースに乗せられてしまうのです。
愛想良くしたらつけこまれる。
はっきり断っても食い下がられる。
保留すると脅される。
これはピンチです。どうすればいいのでしょうか?
あなたは相手のペースに乗せられたまま、降りることはできないのでしょうか?
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