1978年、一人の赤ちゃんの誕生が、世界を驚かせた。ルイーズ・ブラウン。彼女は世界で初めて、体外受精によって生まれた子どもだ。
それから今年でちょうど40年。しかし、今でも全ての不妊に悩むカップルが不妊治療の恩恵を受けられるわけではない。
次の図は、日本における生殖補助医療の妊娠率と無事出産に至る率が、年齢によってどのように変化するかを表したもの。
35歳を過ぎてからの下がり方は凄まじく、40歳になると、妊娠率は実に15%。妊娠しても、無事出産に至るのは10%を切っている。
著名人の高齢出産やインターネットのブログなどで成功例ばかりが目に付くので、体外受精や顕微授精をすれば誰しも子どもを授かると錯覚しがちだが、不妊治療は決して“魔法”ではない。
不妊治療の結果、どうしても夫婦の遺伝情報を持った子どもが授からなかったとき、まずは夫婦だけの人生を歩むというのが一般的な選択肢だ。しかし、それでも子どもを育てたいという思いを諦め切れない場合はどうするか。
その主な選択肢が次の表だ。法律上の手続きや認定条件が厳しい特別養子縁組、規制が進んで受けられる国が年々減っている代理出産と比較して、実は精子提供と卵子提供が最も現実的な手段である。精子提供については、約60年ほど前から行われていて、現在は日本産科婦人科学会が認める施設で主に行われている(人工授精のみ)。
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