「外車1台は買える金額です」。不妊治療の経験者たちは、これまで費やした治療費について、このように例えることが少なくない。
不妊治療の経験者1111人を対象に、治療費の合計を調査した結果が次の図だ。実に半数近くが100万円以上と回答している。2年間で19回もの顕微授精にトライした谷本恵子さん(仮名、41歳)もその一人。不妊治療以外でも、サプリメントや漢方、鍼灸などあらゆる代替療法を試したばかりか、“妊娠しやすくなる”という温泉にも足を運んだ。
そんな医療機関の治療費以外の費用も合わせた総額、つまり“妊活代”は、実に600万円。まさに外車1台分である。
幸い谷本夫妻は治療の末、男の子を授かった。「できれば2人目も欲しい」という谷本さんに、「あのつらい治療をもう一度やろうと思うか」と問うと、「お金じゃないんです」という言葉が返ってきた。
2015年の谷本さんの治療費。確定申告で医療費として申請すれば、幾らか返ってくる場合も
確かに子宝を金に換算することはできない。しかし、「お金じゃない」と、気の済むまで治療費をつぎ込んだ先に待つのは家計破綻だ。
Money&You取締役で、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「不妊治療中の相談者は増えている」と話す。
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