前回、私が息子にできる最強の英才教育は、大人になった時にどんな時代が訪れていても「そんなの関係ねぇ!」というノリでガンガン我が道を切り拓いて夢を叶えていく人材に育て上げることであり、その一環として、"ワガママさ"はなるべく残す方向で育てたい、ということを書いた。
では、私が具体的にどんな風に息子を育てているかといえば、基本的にはベタ褒めしている。これは子どもに限らずだけど、「人は伸び伸びしてこそ能力が伸びる」と考えている。
もしもアメトークなどで「何でも褒められる芸人」というテーマがあったらぜひオファーをしてほしいし、優勝する自信があるくらい、私は1日中息子のことを褒めている。
早く起きても、遅く起きても
たとえば、二度寝三度寝をして遅い時間に起きてきたら「あらー!ずいぶんいっぱい寝たねぇ!すごいねぇ!いっぱい眠れるんだねぇ!健康!たっぷり休んで、元気いっぱいで起きてきたの?」と言う。
逆に、妙に早い時間に起きて私のことを叩き起こしてきたら「あらー、起き抜けからニコニコ!可愛い!ハイテンションな赤ちゃんだこと!ご機嫌で何よりだねぇ」と言う。
ごはんを残したら「自分の食べる適正量がわかるなんて賢いね!」と言うし、ほとんど口をつけなかったら「口に合わないものは食べないんだね。ヨッ!味にこだわる男!美味しく食べられるものを見つけて生きていこうね!一緒に探すからね!」と言う。
また、息子と接していて「ここはどんどん伸ばしてほしいなー!伸ばしたら武器になるヤツだー!」と思った時は、全力で伸ばしにかかることも意識している。例えば「愛嬌があるね!」「面白いね!」「かわいい!」「カッコイイ!」など、これらの言葉は「もっとそうなってほしい!どんどんそうなってね!」と思いながら言っている。もちろん、本人の中にその素養がないと伸びないから、ちょっとでもその感じが垣間見えた時に言うことが大事。
聞くところによると、人間は他人から「○○だね」と言われると「そうなのか」と思って、どんどん自分をその方向に寄せていく習性があるらしいから、私としては息子の良さを伸ばす声がけをしたい。
シンプルに優秀な時は「あらー、いい子だねぇ!こんなにいい子っているんだねぇ、赤ちゃんなのにねぇ、ママ助かっちゃうね、ありがとう、大好き」などと言う。そして同時に「いい子じゃなくても、どっちにしろ大好きだけどね!宝物!」とも言う。
「泣かせちゃってごめんね」
また、息子は滅多に癇癪などは起こさないのだけれど、体調が悪かったり、長時間の乗り物移動に付き合わせたりすると、不快感で大泣きをすることがあり、そんな時ももちろん叱ったり怒ったりはしない。
「苦しいね、嫌だね、困っちゃったね」「泣かせちゃってごめんね」「辛いんだね、かわいそうね」と言って、暴れていなければ抱きしめて頭を撫でるし、かなり激しく暴れている時は頭などをぶつけたりケガだけはしないように抑える。
体調不良やこちらの不手際で泣かせてしまっているのに夫が叱ったりした時は、全力で夫の方を叱るし怒る。「は?!何言ってんの?!親の権力を振りかざしてるだけじゃん!それ最低だよ!」と軽蔑するし「今、何も悪くない子どものことを間違えて叱ったんだから、ちゃんと謝って!」とも言う。
とはいえ、もちろん私もまったく叱らないわけじゃないし、怒る時もある。
危険なことをしたら「あなたは私の宝物なの!だから傷つけられたら困るの!大切に扱ってほしいの!危険なことはやめて!」と言うし、乱暴なことはそれ自体が結果的に自分の身を危険に追い込むから「それは危険」という意味でも叱るし、私に対して乱暴な時は「痛いことはやめて!!いくら可愛くて大好きなあなたのやることでも、痛いものは痛い!痛いことをされるのは誰が相手でも嫌なの!!!」と言って怒る。
でも、本当にそれくらい。
自由で柔軟な発想を持った人に育てるために
前々回に、テーブルの上にのっても叱らないということを書いたけれど、何もかもがそういう調子で、とにかく"伸び伸びさせること"と、"ご機嫌に過ごしてもらうこと"を重要視している。
夢を叶えられるタイプの人材に仕上げるために、という計算もあるけれど、夢云々を置いておいても、社会に出た時に強いのは"斬新なことを言い出せる人"だと思っていて、その部分を強化するにあたって、ルールの少ない環境で育てることは大事なんじゃないかと考えている。
極論だけど、例えばテーブルの上にのぼることや、テーブルの上に寝転んでみることで、見えてくるものがあるかもしれない。
でも、本当に、アイディアってそういうところから湧き出てくることがよくある。
不自由でお堅い生活を送りながら、自由で柔軟な発想を持つことなど、よっぽどの天才に生まれないと難しいけれど、テーブルに座ってみたり、ソファーをトランポリンにしてみたり、布団に変な角度で寝てみたり、防水じゃないおもちゃをお風呂に持ち込んでみたり、普段から「わりとなんでもアリ」な生活を送り続けたら、普通の人よりは自由で柔軟な発想が持てると思う。
「正しい使い方しか許さない」「マナーが全て」「変なことはしちゃダメ」というような親の元で育ったら、超普通のことしか言えない人に仕上がるのは当然のこと。
モンスター化させないために気をつけていること
とはいえ、世の中には"成功者になれるわけじゃなく単に欲望の歯止めが効かないだけ"という、ただのモンスターな大人もたくさんいる。薬物中毒やアルコール依存症、ストーカーや性犯罪、家庭内暴力など、親が育て方を間違えたことによってヤバイ仕上がりになっている例はゴマンとある。そうなってしまうと、もちろん本人も辛いだろうけれど、家族全員が地獄を味わうことになる。
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