photo by 飯本貴子
「自己受容」と 脳の関係
長谷川 社会的に評価を受けるか、注目を集めるかどうかは関係ない。その人の価値は独立している。そういう点でみんな一緒ということですよね。
茂木 その中で自分の喜びがあるし、何かやりたいことができたときの喜びもある。でもそれが、社会で肯定されたり評価されたりすることである必要はないんだろうと思います。それは本質ではないから。
長谷川 今のお話は、「自己受容性」がすごく高まった状態だと思うんですけど、自己受容性が高い人って、脳ではどう説明できるのですか?
茂木 自分自身を客観的にどれくらい見られるかということですよね。つまり、脳の中で、自分が実際にどういう人であるかということと、どういう人でありたいかという願望とのズレがあればあるほど、本人は苦しむ。それが一致すればするほど、自己受容に近づく。要するに、前頭前野(※19)を中心とするメタ認知(※20)の働きに関係しています。
長谷川 心理学でいうと、現実自己と理想自己、期待自己、それらの乖離が小さいときに「自己受容性」が高いとされる。それには前頭前野が関係しているということですね。 cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。