人間に自由意志などない?【第6回】

重大な事件の容疑者の心理鑑定や面接などもしてきた長谷川博一さん。罪を犯した人を「理解」しようとする行為に、バッシングも浴びせられました……。茂木健一郎さんは刑事罰を問う刑法の大前提(人間の自由意志)に疑問をとなえつつ、事件の再発防止を願います。
茂木さんと長谷川さんの新刊『生きる──どんなにひどい世界でも』を全文掲載!(火・木・土更新)

photo by 飯本貴子

附属池田小事件の宅間守との接見でわかったこと

茂木 長谷川さんは重大な事件の容疑者の心理鑑定や面接などもなさっていますよね。印象深いものはありましたか。

長谷川 印象深いのは、大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件(※10)を起こした元死刑囚の宅間守に接見していたときです。あのときは2ちゃんねるにスレッドを立てられ、大変嫌なことを書かれました。

茂木 それは鑑定のための面接だったんですか。

長谷川 いえ、裁判のために依頼されたものではありません。彼の立ち居振る舞いの中に、子ども時代の被害性が読み取れたので、担当弁護士とも相談し、「臨床心理学的な対話によって、被告人の中に謝罪の気持ちが生まれるかどうか試みたい」と上申して大阪拘置所長から特別許可をいただきました。死刑判決から死刑執行までの間に15回の面接を行ったんです。

 そのとき、まず彼を理解しようとする私の行動に対して、ひどい中傷がありました。犯罪者に「理解」はいらないと。

茂木 ちなみに彼はどんな人でしたか。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

脳と心で考える、生きづらさの正体

生きる──どんなにひどい世界でも

茂木 健一郎,長谷川 博一
主婦と生活社
2019-07-19

この連載について

初回を読む
生きる──どんなにひどい世界でも

茂木健一郎 /長谷川博一

「生きづらさ」の正体は何なのか? 現代社会の病理はどこにある? 脳科学者と臨床心理学者が出会ったとき、いのちが動きはじめ、世界の見え方が変わります──。7月19日発売の書籍を全文公開。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

tsukkykoki 人に自由意志がないが、刑法の大前提は自由意志がある。この矛盾が、科学的になぜそうなったのかという深掘りを阻害してしまっている。ルールによって常識が生まれたことで、そのルール自体について疑わなくなるのに似てる。 https://t.co/tTEnFyx0Gq 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

megamurara 「目に見える表面的なものを答えとして片付ける」そのスピード感はなんなのだろう。 2ヶ月前 replyretweetfavorite

__comfort__ 「なぜあんなふうになってしまったのか」と理解することが再発防止につながる。 2ヶ月前 replyretweetfavorite

dai560_2 面白そうな考え方だ。やってみたい https://t.co/cs0nsoJT7y 2ヶ月前 replyretweetfavorite