週刊東洋経済
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連鎖する貧困#4】給付型奨学金の拡充で未婚・少子化へ歯止めを
日本学生支援機構の給付型奨学金制度が、18年4月から本格的に始動した。同機構の奨学金はこれまで貸与型しかなく実質は教育ローンだった。そのため卒業後は数百万円に上る多額の返済に苦しむ利用者が少なくない。給付型の導入は、この問題を改善していく重要な一歩である。
日本学生支援機構の給付型奨学金制度が、18年4月から本格的に始動した。同機構の奨学金はこれまで貸与型しかなく実質は教育ローンだった。そのため卒業後は数百万円に上る多額の返済に苦しむ利用者が少なくない。給付型の導入は、この問題を改善していく重要な一歩である。
しかし、まだまだ課題は多い。対象となるのは、住民税非課税世帯の進学者で、給付規模は約2万人。住民税非課税世帯からの進学者(1学年約6万人)の3分の1にすぎない。2016年度における貸与型利用者の総数約132万人(無利子約48万人、有利子約84万人)と比べるとごく少数だ。
今や大学生の2人に1人が奨学金を利用しており、多くの世帯で教育費の負担が困難になっていることを見逃してはならない。ごく一部の貧困層のみを救うという視点だけでは奨学金問題の根本的な解決にはならない。
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日本で最も古い週刊誌です。「今」の本質を掴むためには全体を俯瞰し、長い時間軸のなかで問題をとらえる視点が欠かせません。週刊東洋経済は日本と世界の経済を120年以上、愚直に見つめてきました。戦前戦中の言論抑圧時代も社是である自由主義の立場を崩すことなく貫いてきました。年月を重ねているからこそ、読者の信頼に応える記事を作り続けている自信があります。