かき氷・かきごおり——削った氷にさまざまなシロップをかけて味付けしたもの。別名に「氷水」「夏氷」「削氷(けずりひ)」。スプーンを用いて食べるが、俳句歳時記によると「飲み物の一種」。
八十年代後半に家庭用かき氷機のブームでもあったのでしょうか、私が小学生の頃、突如として家にかき氷機がやってきました。たぶん、甘党の父が買ってきたんだと思います。お椀くらいの大きさの製氷皿で氷を作って、それを窪みにはめ込んでレバーを回すと、下からショリショリ氷が出てくる。母が着色料を嫌ったためでしょう、かき氷用のシロップではなく、缶詰の小豆と練乳をかけて食べることが多かったです。
末っ子で一番力が弱い、ゆえに私が削った氷は細かくてなめらかだ、というのは当時の母の弁。得意になってレバーを回したものですが、今思えばソンな役回りを押し付けられていたような。今でも実家のどこかに眠っているのか、それともとっくの昔に捨てられてしまったか、いつの間にか見かけなくなりましたが、夕食の後に家族五人揃ってかき氷を作って食べたことを思い出すと、愛されて育ったな、と素直に思います。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。