晩酌歳時記

第二十六回・かき氷

一人暮らしを始めて十年目になりますが、未だに体重計も体温計もありません。測ってもしょうがない……そんな佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。暦の上では、来週七日はもう立秋。夏にやり残していたことを、やってみました。

かき氷・かきごおり—削った氷にさまざまなシロップをかけて味付けしたもの。別名に「氷水」「夏氷」「削氷(けずりひ)」。スプーンを用いて食べるが、俳句歳時記によると「飲み物の一種」。

 八十年代後半に家庭用かき氷機のブームでもあったのでしょうか、私が小学生の頃、突如として家にかき氷機がやってきました。たぶん、甘党の父が買ってきたんだと思います。お椀くらいの大きさの製氷皿で氷を作って、それを窪みにはめ込んでレバーを回すと、下からショリショリ氷が出てくる。母が着色料を嫌ったためでしょう、かき氷用のシロップではなく、缶詰の小豆と練乳をかけて食べることが多かったです。
 末っ子で一番力が弱い、ゆえに私が削った氷は細かくてなめらかだ、というのは当時の母の弁。得意になってレバーを回したものですが、今思えばソンな役回りを押し付けられていたような。今でも実家のどこかに眠っているのか、それともとっくの昔に捨てられてしまったか、いつの間にか見かけなくなりましたが、夕食の後に家族五人揃ってかき氷を作って食べたことを思い出すと、愛されて育ったな、と素直に思います。

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晩酌歳時記

佐藤和歌子

季語と晩酌をテーマにしたショートコラム。月四回更新(毎週木曜、第五はお休み)。

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コメント

mayanomi ことばを綴ることで食べることと思い出とを繋げる、って素敵だよね(食いしん坊ゆえの発想だが筆者も食いしん坊さんなので許されよう)。 約5年前 replyretweetfavorite

wwwac_1980 〈告〉晩酌歳時記二十六回・かき氷 更新一日遅延 御詫申上候 m( . _ . )m https://t.co/a1sTgUTiKH 約5年前 replyretweetfavorite