相談できる人を見つける
10代の君たちの知っている世界は、まだまだ狭いです。バカにしているわけではないですよ、ただ事実を伝えているだけです。
「このつらさをわかってもらえる人なんか、いないに決まっている」
そう考えているのは、自分の思いこみを手放せていないからです。
「相談できる場所なんか、自分にはどこにもない」
いいえ、いまは身近にいない気がしているでしょうが、必ず相談できる場は見つかります。
いまはまだめぐり合っていないだけ。
ひとりでかかえ込んで悩まないで、相談することです。先行きを見通せるような情報を自分に与えてくれる人、新しい風を入れてくれる存在は必ずいます。
「自分は普通じゃない」と思うと、どんどん相談できない気持ちになってしまいます。
たとえば「解離性障害」といって幻聴、幻覚、妄想などの症状が出ることがあります。「自分はおかしい」「こんなヘンなこと、人に言っても信じてもらえるはずがない」と、ひとりで苦しんでいる人がたくさんいます。
でも、精神科の専門家の立場からすれば、少しも特殊なことではありません。ある条件がそろうと、そういう症状が出やすくなることがわかっています。一緒に治していくことができるのです。
解離とは、自分では状況を受けとめられなくなったときの防衛システムだといいました。
解離が起こる人には、「人から見捨てられるのでは?」「嫌われるのでは?」という不安、相手の意にそわないと「傷つけられるに違いない」という恐怖が強くあります。
そのため、「過剰同調性」といって、目の前の相手や周囲の人に過剰に気を遣って、合わせようとするところがあります。つねに相手に同調しつづけることで、自分の意志や考えなのか、相手の意志や考えなのかが、しだいによくわからなくなってしまう傾向があるのです。
これにより、自分というものがますますなくなってしまう。
たとえば、生まれつき敏感な気質のHSPの人も、理解と愛情を注がれてすこやかに育ったときは、その資質がプラスに作用して才能が開花しやすいのですが、過敏さをネガティブなものととらえて、ガマンを強いられることが多い育ち方をすると、解離が起こりやすいといわれています。
解離を起こした人にとって、いちばん必要なのは、自分の体験をだれかに聞いてもらうことです。心を開いて、話せる相手がいることで、安心できる場というものを感じることができる。それが感じられないと、治療はなかなかむずかしいのです。
自分が安心できる居場所とは、自分が他者に受け入れられ、認められる関係のなかで、自分を素直に表現できる場所なのです。
ひとりで悩まないで、相談すれば、解決方法は見つかります。