国民的おやつと最新フードコート、朝のトシュタ・ミシュタ

「ポルトガル食堂」の連載でもお馴染みの馬田草織さんの最新刊『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』の特別公開。今回は、ポルトガル最大の都市、リスボン。旧懐の念を抱かせる都市で頬張った、懐かしい味と新しい味とは?


リスボン

旧懐の念を抱かせる都市

 使い込まれた木組みの小さな市電が狭い坂道を走り抜け、道や広場は白と黒の石畳カルサーダで組まれ、新旧のアズレージョが建物の外壁を彩るリスボンは、間違いなくポルトガルの顔だ。海かと見まごうほどに広いテージョ川を望むこの都市は、かつての大航海時代には世界各地から船が出入りし、商売が盛んに行われ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアとあらゆる地域から人が集まった。やがて貿易で莫大な財産を作ったこの国は、リスボンに美しく巨大な修道院や教会を建てて繁栄の証を町に刻んだ。そして、それから数百年が経つ。

 リスボンの魅力の一つは、そんな歴史を持つ都市が放つ独特の雰囲気だ。初めて訪れる場所なのに、なぜか感じられる懐かしさのようなものがある。まるでこの町自体が、昔の繁栄を懐かしんでいるかのよう。感傷的になりがちな旅行者だからだろうか、リスボンを訪れるたびに私はそう感じるのだ。

 この数年、リスボンは旅先として急激に人気が高まり、各国からの観光客でいつも賑わっていると、リスボンに住む友人は言う。日々新しい店も増え、変化のスピードが速くなっているそうだ。歴史を感じさせる変わらないところと、全く新しく変化していくところ、どちらも併せ持つのが都市の魅力だし、それが今のリスボンの魅力とも言える。もちろん、食文化もしかりだ。

国民的おやつと、最新フードコート

   リスボンで変わらない食の代表といえば、ジェロニモス修道院のそばに建つ1837年創業の『パステイシュ・デ・ベレン』のパステル・デ・ナタ(エッグタルト)だ。

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ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅

馬田草織

人生を変えてしまうような味に会いたい! ポルトガルの食をまるごと味わうコラム満載。家庭のキッチンから街角のレストランやカフェまで、縦横無尽に訪ね歩いた、めくるめく食旅エッセイ!

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celzephyr 美味しそすぎる! 4ヶ月前 replyretweetfavorite