「ぐるなびへの広告費用をかなり減らした。だって、効果がないんだもの」。ある飲食店経営者は冷めた表情で言い放った。
業績で堅調な食べログとは対照的に、ぐるなびは今期、2期連続の減収減益を見込むなど振るわない。その要因として指摘されているのが、送客力というメディアパワーが落ちたことによる、飲食店からの“切り捨て”だ。
消費者の情報取得ルートが多様化する中で、飲食店側も販売促進の手段を多様化させてきている。
フェイスブックやインスタグラムといったSNSが浸透し、飲食店が自ら販促を仕掛けるルートが生まれた。オウンドメディアと呼ばれる自前のサイトの強化も進む。
「予約者の情報は、基本的にグルメサイトのものであり、オウンドメディアを強化しない限り、例えば予約者にメールマガジンを送るといった販促も難しい」と顧客管理システムを提供するTableCheckの谷口優代表。ブランド力を高めてリピーターを増やしていくためには、オウンド化の実行が必然ともいえるのだ。
従来はある程度成果が不透明でもグルメメディアに“お任せ”していたものが、人件費など種々のコストの高騰もあり、そうした意識を持つ飲食店では一斉にグルメメディアの費用対効果をシビアに見直し始めている。
宿泊業で自社サイト予約のベストレート(最低価格)保証が主流となっているように、グルメサイトによらない販促はますます加速していくだろう。
販促費捻出のため食材・人件費削減
常連客付かぬ必然
そもそも、グルメメディアを頼った集客は、従来致命的な問題点を抱える。販促のターゲットがリピーターではなく、新規客に偏っていることだ。
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