夏の汗や体臭、気にしすぎるのはもったいない

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する日々を綴るこの連載。今回は、汗や体臭についてのお話です。夏になると気になるのが汗の臭い。制汗剤や汗拭きシートなど、臭いを抑えるグッズが充実していますが、森さんは、気にしすぎるのはもったいないのでは?と考えます。

今年も夏がやってくる。いや、まだ梅雨が明けていないのに体感的には夏だ。しかし皮膚が暑さを感知する前に、私達の脳から夏に犯される。だってUVケアや虫除け、汗ジミを防ぐ柔軟剤など、4月くらいから頻繁にCMを流すのだもの、否が応にも潜在的に夏仕様になってしまう。

制汗剤を使い分ける女性たち

さて私、先日、制汗剤に関する意見を聞く機会に恵まれたのですが、20代~40代の女性がいろんな制汗剤を使い分けていて感心したのだ。

汗の臭いといってまず思い浮かぶのが、ワキの下である。他は、足の裏とか首筋、デリケートゾーンなどだろう。20代の女性はやはりお年頃、「ワキの下にはシャボンの香りのロールオンタイプ、足の裏は無香料のクリームタイプ、全身にはやはりシャボンの香りのスプレータイプ。あと、ヤバい時のためにシートタイプも持参しています」と完全防備。ヤバい時っていうのは、外出先で汗だくになった時の非常用だろう。

40代の女性も、ある意味でお年頃、「更年期にさしかかったのか、汗の臭いが変わってきた気がするんです。だからいろいろ取り揃えています。スプレータイプだと音で周囲に気づかれるので(携帯してトイレで使用するらしい)、ロールオンタイプを使って、あとはシートタイプを必ず持ち歩いています」といった具合だ。

私の場合だが、無香料のロールオンタイプは持っているけれど、頻繁にはつけない。無香料でオーガニックのシートタイプも常備しているけれど、これも滅多に使用しない。だって、本当に臭っているかどうかなんてわからないもの。やたらCMで「臭い、バレてる!」とか、周囲が鼻を押さえている描写などがクローズアップされているけれど、それって万人にあてはまるのか?と疑問視してしまう。

夏なんだから、多少の汗臭さはしかたないし、無味無臭のほうが気持ち悪いし、私は特に気にならない。ワキガとか、体質的に臭いが濃いめ、という人もいるけれど、そういう方は別にしても、通常はよほどじゃなければ「夏の風物詩」的な汗の香りではないだろうか。

男性がハンカチで汗を拭う姿に萌える

基本、女性よりも男性のほうが汗っかきという印象だ。私の旦那さんも汗っかきなほうで、制汗剤も私より効果の高いものを選んでいる。今まで付き合いのあった男友達なども、例外なく汗っかきだったように思う。でもたぶん、男性が心配するよりも女性は男性の汗が嫌いじゃない(私だけ?)。

炎天下の中、待ち合わせのカフェに駆け込んできて、私の目の前でネクタイをゆるめ、額や首の汗をハンカチで拭う(おしぼりはNG)。そんな姿にかなり私は萌える。コーヒーが運ばれてきたのにまだ汗がダラダラ流れて、恥ずかしそうに延々とハンカチで拭っている姿も(本当はおしぼりでガーっと顔をふきたいだろうに)、くしゃくしゃになったハンカチにさえ、私は萌える。

おそらくそんな姿を男性側も見られたくないと予想するのだが、私はガッツリ見る。目をそらさないで見る。コーヒーを目の高さに持っていって、上目遣いで見つめる。そうすると、さらに汗をかいてしまう人もいる。私はさらに萌えて、つい汗をかいてしまう。汗が伝染したわ、なんてうれしくなる。

なんか変人みたいだな、と書いていて恥ずかしくなりましたが。私以外でも、こういう女性はいるのではないか。頑張っていててんてこ舞い!な男性の汗が大好物な女性。絶対にいると思うので、男性の方々、安心してください。

片や女性の場合は、メイクをしているのでやっかいである。洋服によってはかなり汗ジミが目立ってしまうというのも難点だ。中には「夏には絶対にグレーの服は着ません」という女性だっている(グレーの服は一番汗ジミが目立つらしい)。メイクの上から汗を押さえるシートや、汗ワキパッドなども市販されていて、それなりに使い勝手もいいだろうが、臭いまでしっかり消してくれているのか(もっとも臭っているかどうかも定かではない)という不安に苛まれながら、女性達は夏をやり過ごしている。

汗っかきの男性が好きな女性はいるが、汗っかきの女性が好きな男性は、いるかもしれないけれど少数派なのではないか(汗っかきの男性が好きな女性も少数派なの??)。私もできれば、男性の前では汗をかきたくないし、汗臭も気になる。でも、どうにもならない汗や汗の臭いもある。セックスの最中だ。

除菌消臭ブームの悲しい副産物

昨今、潔癖症のあまりセックスができない人がいるという。これもひとえに除菌消臭ブームの悲しい副産物だと思うが、セックスなんてもともと粘膜と粘膜がこすれあってやるものなので、無菌状態というのはありえない。それでもできるかぎり菌を最小にしたいと希望するのであれば……。

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アラフィフ作家の迷走性活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや性への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。47歳の今、自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する...もっと読む

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