マック・スタバ・丸亀製麺 アプリが外食産業の雌雄を決する デジタル強者の新戦略

外食産業において、今やアプリを使った販売促進は成長のための必須条件となりつつある。大手各社は他業界から“異能”の人材を招聘し、デジタルマーケティングへの投資を加速させている。現時点で先行するアプリ強者たちの戦略とは何か。

 本誌編集部のアンケート調査で今回、アプリの総合満足率1位に輝いたのが、日本マクドナルドホールディングスだ。累計ダウンロード数は国内人口の半数近い4800万に達し、今や外食産業におけるアプリ王者の座を揺るぎないものとした。

 マクドナルドのアプリは2015年4月にリニューアルされ、「朝マック」や「ハッピーセット」などのタグを設定してより分かりやすい形に刷新した。それと同時に充実させたのが、ニュースの発信機能だった。

 同社マーケティング本部ナショナルマーケティング部部長の小室武史氏は、その狙いについて「発売前の認知が商品の成否を左右する。一方的な配信ではなく、ユーザー同士が口コミで広げられる話題づくりの場としたかった」と明かす。

 当時、マクドナルドでは消費期限切れ鶏肉の使用など品質問題が発覚し、深刻な客離れが起きていた。小室氏は「従来と同じことをしても業績は回復できない。ポジティブなニュースを世の中に出していこうという会社全体のセンチメントもあった」と振り返る。

 この話題づくり戦略が功を奏したのが、16年2月に実施した「名前募集バーガー」プロジェクトだ。

 新バーガーの商品名を募集し、受賞者にはバーガー10年分の金額をプレゼントするという企画で、オーストラリアの先行事例を参考に日本流にアレンジした。

 これがインターネットやSNS上で大受けし、わずか2週間で500万件以上の応募が寄せられた。小室氏は「消費者を巻き込んだキャンペーンの有効性が初めて分かった。『マクドナルドが面白そうなことをやっている』というイメージが広がったことも大きい」と語る。

 その後も「ポケモンGO」やゲーム会社との連動企画を展開。例えば現在実施中の楽天とのコラボでは、ガチャで20万円分の旅行券や家電が当たる、といった具合だ。

 こうしたイベントを次々に打ち、アプリの利用率は年々増加傾向にある。赤字に陥った業績も17年12月期に6年ぶりの過去最高益をたたき出すなどV字回復を遂げた。

 マクドナルドの戦略は、いわばアプリ上の仮想空間で“お祭り”を継続的に仕掛けるというものだ。それが来店のきっかけとなり、アプリの割引クーポンを使うことで“お得”を体感してもらい、さらなる集客につなげる。それによって手に入れたのが、膨大なデータだ。「うちにとって重要なのは、お客さまが子供連れかどうか、という情報。それによってセグメント化し、メッセージやクーポンを出すと反応が良い。さまざまな実験によりアクティブユーザーを増やしていく」と、小室氏はデータ獲得の重要性を強調する。

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