令和最初の乗り物 ― 言語障害は痛いよ

脳性まひ者福本千夏さんによる連載2回目です。令和早々、思わぬ転倒をしてしまった福本さん。体に激痛が走り、救急搬送されるなかで、意外な問題に直面します。
今回は、言語障害(発語障害)のおなやみを語ります。

令和最初の乗り物は救急車だった。

大型連休も終わり、さあ、これから仕事という日の明け方のこと。「寒い」と押し入れの布団を両手に持ったまま、ズズズドーンと畳の上に腰から落ちるやいなや、グキだかボキだか今まで聞いたことのない音がした。頭も壁に打ちつけ、ガーンと頭に霧がかかった。霧晴れると同時に「これは今まで経験したことがない痛みだ。まずいことになったぞ」と我を取り戻した。

この曜日の朝は、私をよく知る付き合いが長いヘルパー静香さんが訪問していた。意識もあるし、吐き気もない。ただ身動きが取れない。天井を向いた姿勢から体を少しでも動かすと。腰回りに激痛が走る。静香さんから、かかりつけ医や知りうる限りのドクターに状況を説明してもらう。往診のお願いをしながら、判断を仰いだ。「僕が行っても、レントゲン一つとれない。救急車を呼びなさい」と口をそろえる。「この痛みは耐え難い。助けて」という強烈な思いと「意識があって申し訳ないんだけど」と見知らぬ重症患者への微かな罪悪感を持ち、救急車に乗る。

でも、言語障害の私の場合、ここからが大大大大大問題だったという事をすぐに知る。「ご家族は? ご家族の勤務先は? 連絡とれます? 僕の言うことわかりますか? 併病は脳性まひだけですか? 脳性まひっていつから?」ああああのー。血圧計につながれての仰向きの状態では、平常時でも声は出しづらい。なのにこんな激痛が走る時に、そんな矢継ぎ早に聞かれても……。

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福本千夏

脳性まひ者の福本千夏さん。 50歳にして就職して、さまざまな健常者と関わる中で、感じた溝を語ります。

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コメント

gyutanjustice 「話すことが大変で苦手でも、人の声が聞きたいと思う時だってある。そんな気持ちは、言語障害者も健常者も関係はない」 5ヶ月前 replyretweetfavorite

sakomakoharu しまった、初回を読み逃しちゃったな…でもおもしろい。 さしみとあんぱん(笑) |福本千夏|障害マストゴーオン! https://t.co/0g0WMMHGZ8 6ヶ月前 replyretweetfavorite