無人店」と「サービス充実店」に二極化 “おもてなし”にもテック

【インタビュー】
菊地唯夫(ロイヤルホールディングス会長兼CEO)
きくち・ただお/1965年神奈川県生まれ。88年早稲田大学卒業、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。ドイツ証券を経て現ロイヤルホールディングス入社。2010年社長。16年より現職。日本フードサービス協会会長などを歴任。

──外食産業は、以前と比べてどのように変化していると感じていますか。

 食の産業化は1960年代ぐらいにスタートし、チェーン理論で多店舗化をしながら進んできました。規模を拡大すれば、効率という意味での生産性も上がっていった時代です。

 ただこれは、人口増加時代には効果があったのですが、今のように人口減少時代の中では、規模の生産性が利かなくなり、むしろ規模の不利益に変わっている。

──というと。

 生産性が上がるのは、供給制約がない、つまり働く人がたくさんいるという前提があるわけですね。今、お店を増やそうにも人が集まりません。

 それに、付加価値は希少性に対して感じるもので、付加価値と規模はそもそも相反します。

 要は、これまで規模を大きくすることで生産性を上げていたものが、人口減少社会で供給制約が起き、付加価値も訴求しづらくなっていることが本質的な課題です。

 人口減少は今後も続き、働きにくい産業からどんどん働き手が消えていきます。今、いよいよ限界を迎えた外食各社が、生産性向上の手を打ち出してきたというイメージです。

──とはいっても、イノベーションという観点では、外食産業はまだ遅れています。

 実は、外食産業は研究開発に熱心な産業なんです。ただ、その内容がメニュー開発や業態開発に偏ってきた。

 こうした研究開発は、いわゆるマーケティングですから、たとえ新しい店ができても“イノベーション”につながらないですよね。模倣され、価格競争で消えていきます。イノベーションは本来“蓄積”していくべきものですが、そうした開発は蓄積されにくいという問題点があります。

──では、どのようなイノベーションが外食産業に必要でしょうか。

 まず、「お客さま満足度」には二つ層があると考えていて、一つは、掃除が行き届いているとか、頼んだものがタイムリーに、きちんとした形で提供されるといった基礎的な満足度の部分。その上に、スマイルで接客をしてくれますといったホスピタリティという二つ目の付加的な満足度がある。

 でも、これから働き手が減ることで、基礎的な満足度すら維持できなくなる可能性があります。まず、ここを支えるものというのが、一つの視点です。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
お得×旨い×テック 外食〈新〉格付け

週刊ダイヤモンド

IT・テックで外食産業が激変している。「早い、安い、旨い」に行き詰まる外食企業にとっても、「早い、安い、旨い」を求める消費者にとっても、テックは武器になる。中でも強力な武器である携帯電話の「外食アプリ」を格付けし実力を評価。さらに店舗...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード