外食革新に1000億円が流入 沸き立つレストランテック

「きつい」「汚い」「危険」がそろう“3K職場”ともいわれる外食産業をテクノロジーで変革しようとする「レストランテック」に投資資金が流入している。外食産業の救世主になるか。

 ロボットのアームがたこ焼き生地の入った容器を持ち上げ、鉄板のくぼみに流し込んでいく。続けて、アームは容器を串へと持ち替え、たこ焼きを器用にひっくり返す──。

 これは調理ロボットの開発を手掛けるベンチャー企業、コネクテッドロボティクスが開発した、たこ焼き調理ロボット「オクトシェフ」である。タコなどの食材を切るところは人力に頼るものの、鉄板への油敷きから生地の投入、焼き上げまでを全てロボットが担当。人工知能(AI)を活用した画像認識技術により、一個一個の焼け具合をチェックする。

たこ焼きロボット開発の難関は「たこ焼きの個体差」(沢登氏)。大きさや焼け具合をAIで管理している

 たこ焼き店の運営には従来、3~4人必要だった。暑くてハードな調理場をロボットに任せることで、1人で運営できるという。

 「人手不足の中で、“3K職場”と呼ばれる外食産業の仕事は敬遠されている。ロボット活用のビジネスチャンスは極めて大きい」

 こう語るコネクテッドロボティクスの沢登哲也社長は、異色の経歴の持ち主だ。少年時代はミニ四駆やガンプラの改造が大好きで、東京大学在学中の2004年にはロボットの技術を競う「NHK大学ロボコン」で優勝した。

 その後、進学先の京都大学大学院を1年間休学し、英国のベンチャー企業でインターンを経験。世界から集まった学生が週に1度、新規ビジネスのアイデアを披露する場に身を置いた。

 修了後は外食業界に飛び込み新規業態開発を手掛けたものの、長時間労働に耐え切れず、産業用ロボットのソフトウエア開発を手掛けるベンチャー企業に転職。だが、取引先の台湾大手メーカーである鴻海科技集団などの工場に通ううちに、「生産ラインは息苦しい。ロボットを身近な外食で活用したい」(沢登氏)と起業を決意した。

 たこ焼きロボットのアイデアが生まれたきっかけは、友人宅でのたこ焼きパーティー。笑顔の子供たちがたこ焼き器に集まる姿に「人が焼くのは技術が必要で、やけどもする。ロボットがやれば、見ていても面白い」(同)とひらめいた。17年4月、ロボットをテーマにした起業家向けイベントにたこ焼きロボットで参加し見事優勝。その後はキリンホールディングスなどから計9300万円以上を調達し、外食ロボットの期待の星となりつつある。

 たこ焼きロボットはすでにハウステンボス(長崎県)にあるたこ焼き店で今年7月から活躍。大手外食チェーンの工場でも稼働が始まった。現在は丼を食洗機に入れるロボットを開発中で、「米中のレストランテックへの投資は“半端ない”。日本食にこだわりを持って、海外展開もしていきたい」と沢登氏は意気込む。

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