愛がなんだ』『アラジン』に見る、原作からの改変

「王子様を待つ」プリンセスが「王になりたい」プリンセスになってた。原作にある台詞が映画にあるかないかで解釈が変わる場合がある。時代の意見が急速に変わっているなかで、私たちの物語の方向性は、いったい、どこに向かうんだろう。

 先日、ディズニーの映画『アラジン』を見てきた。見て、驚いた。
 アニメ版・アラジンを原作とした実写映画……とされていたけれど、かなりあらすじが変わっていたからだ。

 ジャスミンはただのプリンセスではなく、「王になりたい」プリンセスになっていた。
「女の子は王子様を待つプリンセスなんだよ」幻想を世界でいちばんばら撒いていたであろうディズニーが、自らそれをぶっ壊す様子も見てて爽快だったけれど、しかしすごいなぁ、と思ったのはディズニーが生み出す物語のバランス感覚だった。

バランスというか、ジャスミンが美しい女の子でありながら、勉強して賢い王の後継者になるあたりとか、じゃあヒーロー・アラジンは何をするのかといえばただのおつきになるわけじゃなくてきちんとヒーローになっていたり、「ひえー日本ではまだこんなにバランス取れてないよーディズニーの脚本チームはどんだけ優秀なんだよー」とおののいてしまう構成っぷり。
 詳しくはぜひ映画を見てほしいのだけど、まあ、とにかく2019年公開映画『アラジン』の、原作からの改変っぷりを、注目せざるをえない物語だった。

 で、最近見た映画がもうひとつある。
『愛がなんだ』という小説の、実写映画である。

 4月19日初公開だったのに、東京ではまだ映画が公開され続けているロングラン・ヒット映画『愛がなんだ』。
 こちらは『アラジン』とは違って、わりと原作に沿ったあらすじで進む。
 アラサーのOLテルコは、ある男性にずっと恋をしていて、しかし関係性はぐだぐだと進まず……と、恋愛を中心に物語が進む日本映画である。
 しかし、原作とあらすじが同じといっても、細部はかなり「映画用」に変更されていた。
 ラストの改変とかいろんな変更があったのだけど、私がいちばん気になったのは、原作のなかにはあったこの場面だった。

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『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)著者、三宅香帆による文学レポート。  ふと「いまの文学の流行りをレポート」みたいな内容を書いてみようかなと思い立ちました! なんとなく、音楽や映画だと「ナタリー」みたいな流行をまとめる記事っ...もっと読む

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コメント

sasamichiaki 好きだな。このモノの見方。 6ヶ月前 replyretweetfavorite

marikoms555 アニメ版アラジンでもジャスミンは「王子様を待つプリンセス」では無かったけどなあ。 7ヶ月前 replyretweetfavorite

m3_myk 『アラジン』と」? 本日cakes更新です! https://t.co/9KlPFqJS4C 7ヶ月前 replyretweetfavorite