「〇〇の世界」をよく知りもしないのに
この数日間、『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』にゲスト出演した伊集院光が、終了直前の雑談で言い残した「吉本(興業)の上下関係の中で、先輩が嫌がるようなことを上手に言う関係あるじゃない」「気持ち悪くないですか」「痛いけどあんまり血は出ないところ斬ってくる感じ」という痛快な発言について考えているのだが、「よくぞ言ってくれた!」と思うものの、その「斬ってくる感じ」って、そもそも視聴者のこちらは共有できているのだろうか。芸能界に限らず、「〇〇の世界って上下関係が厳しいから」と聞かされる度に、「〇〇の世界」をよく知りもしないのに、勝手に便乗して、その厳しさを実感しちゃっていいものか、と少しだけ悩む。
先輩たちは一目散に逃げていった
巨人の阿部慎之助選手が、若手選手の頭を繰り返し丸刈りにしてきた事実が気に食わない。「阿部慎之助 丸刈り」で検索すれば、「巨人阿部 丸刈りで打撃開眼し同僚にも『坊主頭にしろよ』」(NEWSポストセブン)、「『バリカン星人』阿部が喝!勝負の2年目内野手に丸刈り鬼指令」(スポニチ)などの記事がいくつも出てくる。しかし、野球の世界ってそういうもんだから、と経験者方面から言われたり、「巨人・阿部認めた小林の“気合”決意の丸刈りで自主トレ出発『何でも教えてやる』」(デイリースポーツ)と、自ら率先して坊主にしてきた選手の様子を確認したりすると、丸坊主にさせる人物への嫌悪感が萎んでしまう。結果、「まっ、よく知らない世界だし」で終わる。それでいいのだろうか。
カラテカの入江慎也が、振り込め詐欺グループのパーティーで所属事務所を通さない「闇営業」を行い、同時に複数のお笑い芸人を仲介していたことが発覚し、契約を解除された。その場に同席していた雨上がり決死隊・宮迫博之などは一旦、厳重注意処分で済まされたものの、金銭の授受を認め、謹慎処分となった。入江の著書『後輩力 凡人の僕が、友だち5000人になれた秘けつ』にあるような「力」や「秘けつ」は窮地には活かされることなく、先輩たちは一目散に逃げていった。相方の矢部太郎だけが「相方であり友である入江慎也が多くの方々にご迷惑、ご心配をおかけし本当に申し訳ありません」とツイートし、わざわざ「友」であることを強調したのは印象的だった。
絶対服従が強化されているのではないか
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