NHKのアナウンサーとして、「生活ほっとモーニング」などのキャスターを務めた内多勝康さん。今は、在宅で医療的ケアが必要な子どもの短期入所施設「もみじの家」のハウスマネージャーとして働く。〝朝の顔〟が50代で転身したきっかけには、ある学び直しがあった。
53歳を目前に控えた2016年春、30年間勤めたNHKを早期退職し、福祉施設の職員として働き始めました。もともと安定志向なのに、われながら思い切ったなと思います。今の主な仕事は、予算など事業計画の策定と、メディア対応や講演会といった広報活動です。
福祉の世界との出会いは、新人アナウンサー時代に高松でボランティア協会主催のお祭りの司会を務めたことでした。そこで初めて、障害を持つ方々と濃厚に接したのです。それ以来、制度の不十分さに対する考えや生きづらさといった本音を協会の方々から伺い、福祉に関する番組企画を次々と提案していくようになりました。
東京転勤後に、ある番組で自閉症を持ちながら公務員として働く男性を取材しました。老人ホームの風呂をピカピカに掃除し、タオルをきれいに畳み、職場にもなじんでいる姿を見て、「働く環境を整えれば『この人は障害が重いから』と、さまざまな選択肢をあきらめずに済むのだ」と気づきました。福祉の世界でやっていこうと考えるようになったのはこの頃です。
専門性高い福祉の現場 40代後半で学び直しへ
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