ウェブの世界は、ここで改めて言うことでもないですが、とにかく移り変わりがはやく、流行り廃りがあるものだと思われがちです。事実、次々に新しいサービスが投じられては消えていく現実をご存じのはずです。ところが、実は一度起きたトレンドが、意外と変わらずに残り続けるのも、ウェブのもうひとつの顔です。何が言いたいのかというと、ホントにドラスティックな変化というのは、スピードのはやいウェブの世界でも、だいたい10年に一度ぐらいしか起きていないんです。
ざっくりウェブの歴史を20年ぐらいと見積もりますと、まず最初の大きな変化はなんといっても検索サービスの登場でした。それまで人の手によるリンクに頼るしかなかったアクセスの流れが、これでがらっと変わったのです。次の変化をどこと見るか? これは諸説あるわけですが、ここでは普通のネットの利用者の目線で考えてみましょう。そうすると、次の変化はブログになります。
ブログの流行は、どうしてもブログを書くことで、ネットに情報発信する人たちが増えたということばかりが語られがちです。でも、それは10年に一度の変化という意味では、表面的なもので、ブログが流行することによって、XMLとRSSによる文書の構造化が一気に普及したということの方が、はるかに大きいのです。
文書の構造化といっても、なじみのない人には少しわかりにくいですね。ちょっとニュースサイトを例にしましょう。大手ニュースサイトでは、いろいろなところからニュースを集めて配信している場合が大多数です。文書が構造化されていないと、ニュースサイトとニュース提供側が双方開発をする必要がありました。これは各社統一された形式になっていなかったからです。
でも、今ではこの文書の構造化によって、一度構造化された文書をサイトに反映させる仕組みを作ってしまえば、あとは簡単に情報を取り込むことができます。ブログなどで一度作られたコンテンツが他のところで再利用されるためには、この文書の構造化が必須条件だったのです。
では、ここで今のネットサービスをそれが広がるまでにかかった年数などの観点から見直してみましょう。あのfacebookでさえ、Googleのアクセス数を抜くのに6年かかっています。もちろん、この6年というのは、めちゃくちゃ速いのですが、それでも日本では、2011年辺りから、やっと一般的にも知られるようになってことを考えると、なんだ6年前からあったのかと思う人もいるでしょう。
そのGoogleも、そのサービスの原型が生まれたのは1996年。もう16年前のことです。Googleのブレイクポイントをどこに設定するかはいろいろ意見があると思いますが、ここでは仮にGmailのサービス開始・株式公開・Googleマップの公開と立て続けに大きなイベントが1年で起きた2004年とすると、やはり大きな成長にたどり着くまでには、8年という歳月が必要だったことが確認できます。また、これはちょっと嫌味な言い方になるかもしれませんが、この2004年以降のGoogleにはドラスティックな変化は起きていないとも言えるわけです。
Web1.0の掲示板文化からの生き残りキャラである「ノッポン」。
この写真は2002年に配布されたノッポングッズであるボールペン。
この写真自体も当時撮影したもの。
最近はグリーやモバゲーだけでなく、LINEにまで、その新規性という意味では押されている感のあるmixiも、サービス誕生からは早8年。いくらなんでも、あと2年やそこらでmixiがなくなることは、実に考えにくいということを考えても、10年持つサービスであることは間違いないでしょう。何が言いたいかというと、あんまりmixiをバカにすると、バカだと思われるよ、ということです。テレビなどのマス媒体をほとんど使うことなく、クチコミを中心として日本全体に広くその名前を知らしめたサービスなんて、後にも先にもmixiだけではないでしょうか。この点をお忘れなく。
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