しょうが焼きをやわらかく!コツは下味と低温調理。

今回は、「焼きもの」についてご紹介。肉についても、魚についてもおいしく作るための勘どころは、ほぼ同じ。重要なのは下味と、低温調理です。このポイントさえ守れば、ぱさぱさな食感にならずにジューシーに仕上がります。ぜひ試してみてください。5月16日発売『おいしいごはんの勘どころ』(学研プラス)より特別連載。

フライパンは熱さない冷たい状態から火を入れる

今回は、焼きものについてのおいしい勘どころをまとめます。肉と魚でポイントが少し違ってくるのでわけてご紹介します。

【肉を焼く場合】

 肉を焼くときは熱したフライパンで焼くというのが定番でした。いま、僕が肉を焼く場合はフライパンを熱する前に肉をのせ、それから弱い中火くらいで火を入れていきます。いわゆる低温調理をすることで肉がかたくならず、ふっくらと焼きあがる。なんでこんなことをし始めたかのかといえば、香ばしく焼くというのは(肉がやけどしている状態なのでは)と思ったため。本来は、やけどをしないように焼くべきだろうと考えたのです。いままではただ焼けばよかったわけですが、みなさんの口が肥え、時代は「もっとおいしいものが食べたい」という流れになってきいますから。

 おなじみの豚肉のしょうが焼き、今回下で紹介するレシピは厚切り肉を使って、低温でゆっくり加熱しながら焼きます。薄切り肉を使って作る場合も同じように、低温で加熱していくといいです。じわじわと熱が入るので、かたくなって身が縮んだりしません。

 ステーキを焼く場合も、熱したフライパンで焼く必要はありません。これも弱火でゆっくり焼いたほうが肉にストレスがかからず、おいしさのピークを逃さずに失敗しません。お店で食べるステーキは、肉を焼く技術をもったプロの料理人が焼くのでおいしく焼いてくれますが、家庭で肉を焼く場合は、低温調理で様子を見ながら焼くほうが無難だと思います。

 あとは、肉を常温に戻してから焼くこともポイント。これは肉に火が入る温度を均一にするためで、肉が冷えた状態で焼くと、温度が低い中心部まで火が通るころには、外側の肉は火が入りすぎてかたくなってしまったり、パサついたりしておいしく焼けないということです。

【魚を焼くとき】

ぶりの照り焼きのようなものは、中火くらいの火加減で、やはり低温調理が望ましいです。ゆっくり火を入れることで身がぼそぼそしません。魚をグリルで焼く場合は、強めの遠火で。強火にすることでグリル内の全体の温度があがり、身がふっくらと焼けます。

下ごしらえ

□下味をつける

肉のうまみは肉汁なので、基本は調理する直前に塩を振ります。

魚の場合は、両面には均一に塩をふります。塩の量は魚の重量の2~3%が適量。パラパラと落ちるくらいです。塩をすることでうまみを引き出し、下味をつける。塩分濃度が強く感じるかもしれませんが、後で洗い流します。実際に魚にしみこむ塩分は1%程度です。この塩をしていないと、たれをからませても味がのりません。

焼く

□冷たいフライパンで火を入れていく

あらかじめフライパンは熱さず、冷たい状態からじわじわと過熱していきます。低い温度から火を入れると身がぎゅっとしまらず、ふっくらと焼きあがります。

□脂はペーパーでふく

途中、素材からでてくる脂をふき取ることで表面が香ばしく、風味もよくなります。

仕上げ

□たれを煮詰める

蒸発しやすい酒を多めに使い、煮詰まりやすくします。いったん肉(魚)を取り出し、たれを煮詰めて濃縮させたところに、肉を戻して味をからめるようにすると、必要以上に火が入りすぎません。

では、これらの勘どころを生かしたレシピを紹介します。

厚切り豚肉のしょうが焼き

 食べごたえのある厚切り肉を使ったしょうが焼きです。身が厚いので焼いたときに、火が均一に入るように常温に戻してから調理を始めましょう。塩は肉の重量に対して1%ほどふるのが目安です。なぜ1%か。人間の体液の塩分濃度は0.8%前後。つまり人間の体と近い塩分濃度を、おいしいと感じるのです。そして塩をふることによって、ジューシーさを感じます。

材料/豚ロース厚切り肉(とんかつ用)…2枚、塩…少量、しょうが(すりおろし)…小1片、A(しょうゆ・みりん・酒…各30ml)、サラダ油…大さじ1、こしょう…少量、キャベツ(千切り)・レモン(くり切り)…各適量

◆作り方

1. 豚肉は赤身と脂身の間に包丁を入れ、筋を切る。肉の両面に塩をふり、15分ほどおいてから、水でさっと洗って表面の塩を落とし、水けをふく。

(勘どころ1/肉に下味をつける)

2. フライパンに油をひき、豚肉を並べてから弱めの中火にかけ、3分ほど焼く。肉の厚みの半分くらいまで火が通って色が変わったら、裏返してさらに2分ほど焼く。(別の冷たいフライパンで、裏返して焼くという方法でもよい)

(勘どころ2/冷たいフライパンで火を入れていく)

3. Aを加えて強火にし、煮立ったら肉にからめ、肉を取り出す。しょうがを加え、中火でたれを煮つめ、少しとろみがついたら豚肉を戻してこしょうをふり、さっとからめる。

(勘どころ3/たれを煮つめる)

4. 豚肉を食べやすい大きさに切って器に盛り、キャベツ・レモンを添える。

ぶりの照り焼き

脂が多い魚の場合、味が入りにくいので塩をふることが大事です。塩をふることで、塩味をつけ、余分な水分がでて身がしまります。洗って水けをふいたら小麦粉を薄くまぶしましょう。粉がつくことでうまみを逃さず、焼き色が全体につきます。火は強くせず、ゆっくりと火を通し、でた脂はペーパーでふき取ります。脂の多い魚はこのやり方で照り焼きにするとおいしくできます。

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おいしいごはんの勘どころ【和食レシピ】

野崎洋光

料理にはそれぞれ「勘どころ」となるポイントがある。 レシピどおりに作らなくても、その「勘どころ」さえおさえていれば素材がいきておいしくなるし、 失敗もぐっと少なくなる。レシピに縛られないから、料理が自分のものになって自由...もっと読む

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what_above_who 個人的には野崎さんを信奉しているのだが、これだけは喩えだとしてもオカルト的で不適… https://t.co/Wgu96dsh8o 5ヶ月前 replyretweetfavorite

shinichi1966 豚の #スマートニュース 6ヶ月前 replyretweetfavorite