命に関わることも...野食でいちばん怖い○○○○○を考える

まだ知らぬ美味しい野生食材を求めて日々東奔西走する野食ハンターの茸本朗さん。これまで野食活動で数多くの失敗をしてきた茸本さんですが、今回はその中でも特に危なかったエピソードです。安全に十分配慮して、野食を楽しみましょう。

「野食ハンターの七転八倒日記」ではこれまで、野食において起こりうる様々なハプニングをお伝えしてきました。


毒キノコを食べたり


酷い臭いのナマズを食べたり

これらはいずれも、ぼくが実際に体験した失敗談です。

はじめに連載の話をいただいたときは、あくまで野食の魅力をお伝えしようというコンセプトだったと記憶しているのですが……気が付いたらこんな連載に。(編集部注:当初から失敗談です)

そうなってしまったのは、ぼくが野食クラスタの中ではトップクラスにおっちょこちょいで、それでいて未知なるものにトライしたいという欲求だけが暴走してしまう人間だから。たぶん、普通に野食をやっている人は、こんなに失敗ばっかりしないと思うんだよね……周囲の人々にはいつもご心配やご迷惑をおかけしております。この場を借りてお詫び申し上げます。ごめんね(テヘペロ)

なんですけど、一応最低限の注意と配慮だけは常にしているので(猛毒種に近縁のものはよほど自信がない限り食べない、とか)だいたいの失敗談はおちゃらけエピソードにして話せるレベルに収められています。
ガチで危ない目に遭うことはそんなにないですし、わざわざそんな話をここでして、せっかく野食に興味を持ち始めている読者の皆様をビビらせてしまってはマズいので、これまではあえてそういう話はしないでおきました。

ただ……この連載も30回を超え、ここまでついてきてくださっている読者の皆様は、きっと野食に強い興味を持ってくださっている人たちだと思います。
もしかするとご自身も野食をされている、あるいは始めようと思っている、そういう将来有望な人たちかもしれない。
であれば、ちょっと怖い話をしても、今更離れることはない……そう信じてもいいかもしれないですよね?

ということで、今回は「本当に怖い野食の話」をさせていただきたいと思います。最後まで、読んでね……?


野食で一番怖いものは……


毒棘は怖いけれど、もっと怖いものがある

野食活動はいわゆるアウトドアの一環であり、他の野外活動同様、様々な危険が付きまといます。
野山を巡れば毒虫や危険なヘビが、海にも毒魚や危険な生き物が跋扈しており、それらとの出会いはいつだってデンジャラスです。

また、生き物以外でも物理的に危険なもの(がけ崩れや落石、高波や川の深み、ノリの生えたテトラポッドetc.)はあふれており、油断するとすぐにけがを負ってしまうでしょう。

しかし、これらはいつでも「予測できる」もの。
ハチがいるかもしれない茂みに入るときは黒い服を着ないようにする、エイがいるかもしれない浅瀬に入るときはすり足でゆっくり進むなど、危険を予測し常に油断せずにいれば、ケガなくフィールドから帰還することは可能です。

しかし、油断していなくても、しっかり危険予知をしていても、避けきれない危険が存在します。
この危険はアウトドアの中でも「野食」に特化したものであり、かつときに致命的になることすらあります。
それはいったい何か、ぼくの実体験をご紹介しつつ説明していきたいと思います。

数年前、潮干狩りで横浜・海の公園を訪れたぼくは、ひとしきりアサリを掘ったあと、疲れて浜の横の石積みに腰を下ろしました。
何の気なく手を横の石につくと、手のひらに妙な手ごたえを感じます。
手を上げて確認してみると、そこにいたのは


「貝類のダンゴムシ」とも呼ばれる

ヒザラガイ。
貝類のひとつですが、殻が7~8枚ある、ちょっと変わったものです。いくつかの種類があり、首都圏の海にもごく普通に棲息しています。

しっかりと岩に貼りついており、素手で剥がすのは難しいですが、その時はちょうど熊手を持っていたので、端っこをあてがってグイっと押してみると、うまいことはがれてくれました。
その調子で周囲のヒザラガイをぐいぐいと剥がしていき、あっという間にお椀1杯程度の捕獲に成功。アサリと一緒に持ち帰ることにしたのです。

この時ぼくはヒザラガイをまだ食べたことがなかったのですが、かつて見たとあるテレビ番組で「ヒザラガイを食用とする地域がある」ことは知っていました。高知県など外洋に面し水のきれいな場所では、刺身や天ぷらなどで食べる文化があるようです。
味も良いと聞いたことがあり、かなり期待しながら試食に進んだ記憶があります。


見た目はそこまで美味しそうではないけれど

さっと湯引きしてから表面の毛を剥き、筋肉に食い込むように入り込む8枚の殻を剥がします。
ヌメリを良く落としてから、酒蒸しに。


色味はおいといて、とても美味しそうな香り

予想外のオレンジ色に驚きつつ、しかし非常に美味しそうな磯の香りもあって食欲がわきあがります。
さっそく一切れ、口に入れると……

……美味しい!

やや堅いですが、噛み締めると貝類特有の重厚な旨味が口いっぱいに広がります。歯切れもよく、コリコリとした食感はまるでサザエやアワビのよう。
日本酒もグイグイ進み、これはレギュラー獲物入り間違いなし……そう思っていたのですが……

食べてから20分ほどして、ふと顔がほてっているように感じます。
酒が回ってきたのだろうかと思っていたのですが、やがてそれはほてりというレベルではなくなり、自分で触っても驚くほどの熱さに。これは何かおかしい……?

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野食ハンターの七転八倒日記

茸本朗

「野食」とは、野外で採取してきた食材を普段の食卓に活用する活動のこと。 野食ハンターの茸本朗さんは、おいしい食材を求めて日々東奔西走。時にはウツボに噛まれ、時には毒きのこに中毒し、、、 それでも「おいしいものが食べたい!」という強い思...もっと読む

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コメント

lessthan500 ほんと大事なこと。タイトルを伏せ字にすべきでなかったのでは。 > 2ヶ月前 replyretweetfavorite

konpyu 野食死! 2ヶ月前 replyretweetfavorite

tetsuto_w こちらも今日更新しています! よろしくどうぞ(`・ω・´) 2ヶ月前 replyretweetfavorite

mmr_hrk これ、野食じゃなくても普段食べないモノや初めて口にする食品・食材全てに気をつけないといけない事だよ〜。 → 2ヶ月前 replyretweetfavorite