写真で話そう

カメラは絵筆にも刃物にもなる

包丁で料理を作ることも人を傷つけることもできるように、カメラも絵筆にも刃物にもなると、ワタナベアニさんはいいます。そんなカメラの凶器性について考えます。

ワタナベアニです。

包丁を使うと、美しい料理を作ることも、誰かを傷つけることもできます。

朝から晩までカメラを持っているとそのことばかり考えます。カメラも包丁と同じで、絵筆にも刃物にもなるからです。その逡巡は、自分の中にだけ存在すればいい倫理のせめぎ合いなんですが、「あなたカメラ持ってますよね、僕も同じです」と言われたときにストレスを感じることがあります。

写真を撮ることは極めて個人的な作業で、俺はよきシェフになりたいと思っているだけで、他人がシェフであろうと通り魔であろうと何も興味がありません。僕にとって包丁を手にしていることは、語り合うべき共通点ではないのです。

ここまではとてもわかりやすいんですが、「シェフに見せかけた通り魔」というサイコパス的な複合型に出会ったことがあり、その時は立ち直れないほどの衝撃を受けました。ただただ自分の単純さを恥じましたが、写真を使ってそんなことをしようとする人がいるとは想像もつきませんでした。

以前、盗撮の話を書きましたが、それにも似ています。カメラは使い方によって暴力にもなるので慎重にならなくてはいけません。事件や事故の現場に遭遇したときそれに無神経にスマホを向けることは下世話な好奇心ですし、自分が被害者なら到底許せることではないと思うからです。

自分のカメラには、好きな人や好きな風景だけを見せてあげたい。道具は使う人次第ですから、それを凶器にしてしまってはかわいそうです。

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ワタナベアニ

写真家・ワタナベアニさん。年中無休、四六時中、カメラのシャッターを切り続けています。この連載ではそんなワタナベアニさんのライフワークともいえる、ポートレート写真を掲載していきます。レンズのむこう側で写真家は何を思っているのか、その様子...もっと読む

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