好きな男性の前でいつもの自分を出せない女性のことを「本命コミュ障」と呼びます。
よく、「どうでもいい男からはモテるけど、好きになった人からはモテない」と言う女性がいますが、これは素のその女性が評価されていることと、好きな男性の前で素が出せていないだけなんですよ。
これが本命コミュ障ということになりまして、彼女たちは好きな男性の前で、気に入られようと媚びたり、言いたいことが言えなかったり、〇〇な女だと思ってもらおうと接するんですよね。
では、なぜ素が出せないと恋愛がうまくいかないか、その理由をお話しさせていただきましょうか。
まず、アナタという人物を100という数値で表します。
そこでアナタの目の前に、「この人に良く思われたい」という人物が現れたとしましょう。
相手に好かれようと自分を押し殺し、50しか自分を出せなかったとしますよね。
そうすると、自分を出せなかった残り50の部分は、アナタは相手に合わせるために無理を強いられることになるわけです。
もちろん、職場などでは上司が望む理想の部下を演じていると、気に入ってもらいやすくはなりますが、これが恋愛の場合だと無理をした分、相手には違和感しか伝わっていません。
なぜなら、自分を出さずに封印するほど、相手にはアナタの性格や人となりが伝わっておらず、無理をしているということは素を出していないということなので、「なんか違うんだよな」と思われやすくなるからなんです。
しかも、無理をした分は違和感として相手に伝わるだけではなく、その相手との関係においてストレスを感じる原因を自分でつくっているという結果になります。
これが、対人関係で起こるストレスの正体なんですよ。
恋愛においてのストレスというのは以下のような不安と恐怖になりますね。
「彼から連絡が来ないけど、私、何か嫌われるようなことしたのかな…」
「ぜんぜん私のこと誘ってくれないけど、私に興味ないんだ…」
「なんか今日会ったとき素っ気なかったけど、彼はきっと私と会いたくなかったんだ…」
自分に自信がないから、相手に嫌われることを恐れて自分をさらけ出せず、相手に合わせてつくった自分さえも自信が持てないから、こういうストレスを感じるわけです。
カウンセリングでよく「彼が何を考えているのか分かりません」というご相談をいただきますが、背景を詳しく聞いていると女性側が素を出してないせいで、相手もまったく同じことを考えているということが多々あります。
「コイツ、何考えてるか分かんねえな」と相手にも思われているということです。
そりゃそうでしょう。
先ほどの例を出すと、自分を50しか出してないんだったら、相手は50以下のアナタしか分からないんですから。
素を出してくれない相手に見せる本音なんてありません。
昔からよく言われているように、「相手と仲良くなりたいんだったら先に自分の心をオープンにしましょう」というやつです。
何度もお話ししているように、自己開示しないことには、相手もどこまで踏み込んでいいか分からないですからね。
自分を出せないまま相手と接していると、お互いが腹の探り合いのような状態になり、その状態でいる間はいつまで経ってもお互いが心から安心し合える関係性にはなりません。
とはいえ、腹の探り合い状態ならまだましかもしれないですね。
なぜなら、自分を押し殺して相手に合わせた分だけ、相手が調子に乗って理不尽な要求をするケースも同じようにたくさん存在するからです。
「嫌だな」と思っているのに、相手に嫌われたくないから自分を押し殺して相手の要求を受け入れる。自分が不快に感じる要求を受け入れれば受け入れるほど、どんどん相手は調子に乗っていくわけです。
実はこれ、すべての対人関係に当てはまるんですよ。
男性に都合よく扱われている女性も、奥さんから過剰な束縛をされている男性も、友達のあり得ないワガママにいつも付き合わされている人たちも、すべて原理は同じです。
周りから見れば、「もうそんな相手とは離れた方がいい」としか思えないような関係性ですが、これは相手を助長させている当事者にも、思いっきり原因があります。
どういうことかというと、「超えちゃいけない一線を受け入れてしまった」からなんですよ。
相手に嫌われたくないとか相手を怒らせたくないとか、いろいろ理由はあるでしょうが、これは「なんとかして相手に承認されよう」という思考が元になっています。
相手に嫌われたくない
↓
自分が我慢して相手に合わせていれば、相手が受け入れてくれるかもしれない
相手を怒らせたくない
↓
自分が我慢して相手に合わせていれば、相手が機嫌よくしてくれて、
自分を受け入れてくれるかもしれない
こうやって我慢して相手の理不尽な要求を受け入れていると、いずれ「受け入れること」が「習慣」になってしまい、「超えちゃいけない一線」がどこなのか自分でも分からなくなってしまいます。