幼児に「人間らしい生活」を教える必要なんてない

食事中、子どもが食べ物を投げて遊んだり、椅子に座らずに立ちながら食べたら、「投げちゃだめ」「ちゃんと座って食べなさい」と叱る親は多いと思います。しかし、下田美咲さんは「そんな大急ぎで『人間らしい生活』を仕込む必要なんてないと思うし、フォークもまともに握れないような赤ちゃんに、いきなりマナーまで求める方が変」と言います。一体どういうことでしょうか?

前回、自宅の中であれば、息子がテーブルに乗ったり食べ物を投げても叱らないという話を書いた。それは、今ここで厳しくしなくたって、多くのことは大人になると自然とやらなくなるから大丈夫と思っているからなのだけれど、生活リズムについても同じように思っている。

「子どもの生活リズムを早く整えたい」とこだわる親は多いけれど、まだ喋れない時期はあまりこだわらない方がいいと思う。

1日3食などと回数を数えたりしない

とくに食事に関しては、本人が「お腹が空いた」と言えるようになるまでは、とにかく様子を見ながら臨機応変に、回数や時間を気にせずに本人が食べたそうな時に食べさせた方がいいと思う。超成長期なわけだし、大人には理解できないタイミングや頻度で空腹を感じている可能性なんていくらでもある。

お腹が空いているのに「ごはんの時間じゃないから」と食べさせてもらえなかったらかなり辛いだろうし、逆に、お腹が空いてないタイミングの食事もしんどいから、まだ喋れないうちは、とにかくそんな悲劇を防ぐことを最優先にした方がいいように思う。

私は息子の食事で苦労した覚えがないけれど、それはきっと時計を見たり1日3食などと回数を数えたりせず、ひたすら息子の様子を見て食事を与えているからだと思ってる。

また、食べる時の姿勢についても、赤ちゃんのうちから「食べる時は食事に集中して、ちゃんと座って食べなさい」としつけをするのが一般的だと思うけど、私は「美味しそうにモリモリ食べれば何でもいい」と思っている。

外食をする時はウロウロしながらだと食べられないから座ってもらうけれど、自宅の場合は座らせることにこだわっていないし、遊びながらでもいい。

ただ、座った方が食べやすいとは思うから、そのことはマメに伝えているけれど「座らないと食べちゃいけない」などと叱ったことはない。

そもそも、必ず座って食べなきゃいけない理由が思いつかない。

最近は、立って作業をした方が捗る人もいるから立ったまま仕事ができるデスクが発売されたりしているらしいし、食事だって、座って食べることが全ての人にとってベストなのかは分からない。立ったり歩いたりしながらの方が体に良い可能性はあると思う。

そもそも多くの大人は、立ち食い蕎麦屋や立ち飲み屋に行ったりしているし、お祭りでは食べ歩きをしている。子どもにも立ったり歩いたりしながら食べる自由があっていいと思う。

「よそ」と「自宅」ではルールが違う

「普段からしつけておかないと人前に出た時に…」とか「よそで同じことやったら困るから…」という理屈で一貫して厳しくしつけをしているとしたら、それは子どもをだいぶ見くびっているように思う。

ダメな時にダメと言えば、それは理解できる。実際、息子は外食の時には椅子に座るし、テーブルにのぼったりもしない。だから焼肉でもしゃぶしゃぶでも安心して連れて行ける。よその子ども以上に外食への対応能力は高い。だからこそ出産前と変らぬペースで外食できている。

そもそも、よそでやってはいけないことと、自宅でやってはいけないことを一緒くたにするのはどうかと思う。

だって、私たち大人はみんな、家の外や人前でやってはいけないことを家の中ではたくさんやっている。

たとえばパンツを脱ぐこと、セックスをすることは、人目につく場所でやったら問題だけど、私たちは人目につかない場所では定期的それをしている。

「絶対にやっちゃいけないこと」と「人前ではやっちゃいけないこと」 は違う。危ないことは前者だけど、多くのことは後者であり、「よそ」と「自宅」では基本的にルールが違うということは、むしろ教えた方がいいように思う。

人目のあるなしに関係なく、24時間体制で「人前でやっていい範囲内のことしかやっちゃいけない」なんて価値観を植えつけたら、かなりつまらない人間になりそうだし、社会に出るとつまらないことは致命的な欠点になってしまうからマズイ。

大変な時期を生きているこの子のために

そんなわけで、私は多くのことに関して「それを教えるのは、喋れるようになってからで良くない?」「それって本当に必要なこと?」と思っている。

喋れない時期なんて、ごく一時的なことなのだから、そんな大急ぎで「人間らしい生活」を仕込む必要なんてないと思うし、フォークもまともに握れないような赤ちゃんに、いきなりマナーまで求める方が変。

それよりも、言葉を使ったコミュニケーションが取れないって、実はかなり大変なことだし、だいぶ異常事態だから「どうすれば、この時期を快適に乗り越えられるか?」と考えることの方が、親子にとって超大事なことだと思う。

赤ちゃんは「暑い」も「寒い」も「気持ち悪い」も「お腹空いた」も「痛い」も「苦しい」も言葉で伝えることができないわけで、それって本当に過酷。

喋れるようになるまでは「喋ることができない大変な時期を生きているこの子を、いかにして幸せに過ごさせるか?!」というのが親子にとって一番のテーマであって、「人からどう思われるか」とか「社会に出た時に」とかは【喋れる幼児】に進化してから取り扱い始めれば十分だと思う。

人として生きていくために身につけた方がいいことは色々とあるけれど、複雑なことは喋れるようになってから教えた方がお互いに絶対に楽だろうし、そのペースで育てても幼稚園に行く頃には十分に人間になる。それまでは「同じ人間とは思えない超珍妙な生き物」でいいと思う。

というか、喋れない時期の赤ちゃんって、その珍妙さこそが可愛さだから、珍妙を堪能した方いい。

私は毎日、お味噌汁をハイテンションで浴びながら飲んで満足げに息をついている息子を見るたびに「なんて珍妙な生き物なの……!」と萌えていて、とても楽しい。

世の中の多くのことは、正解がひとつじゃない

ちなみに、夫婦で教育方針が割れていることについては別に何の問題もないと思っていて、「いや、むしろその方が良いのかも」とさえ感じている。

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下田美咲の口説き方

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コメント

mai417 「よく考えてみたらそうだよねえ」と思わせてくれる記事。とても共感する。 4ヶ月前 replyretweetfavorite

darling00000000 子供ちゃん幸せだろなあ 4ヶ月前 replyretweetfavorite